リカバリーカレッジについて

リカバリーカレッジは、

  1. 当事者と専門職のCo-production(共創・協働・共同制作?)、
  2. 教育モデルであること、
  3. 誰でも参加できること

を原則としています。

リカバリーカレッジは、治療的アプローチではなく主体的に学ぶことでリカバリーを目指す実践です。

リカバリーカレッジで提供されるコース(講座)は、リカバリーを促進することに役立つと思われるものを当事者と専門職で共に企画・運用されています。

米国でのRecovery Education等を源流とするとされているリカバリーカレッジは、英国では2009年に初めて開設されました。2017年現在、英国のほか、ヨーロッパや日本に広がっています。

日本では、東京都三鷹市で2013年より、東京都立川市で2015年より実践がはじまっています。

研究

共同創造(コプロダクション)の実践に向けての方略
Strategies for co-production
科研費 基盤(C)
2022年4月ー

協働と共同創造(Co-production)の創出促進
Facilitating Co-production
科研費 基盤(C)
2019年4月ー

質の高いサービスの提供には患者の参加が不可欠であり、医療者と患者が、対等なパートナーとして共に関わる「coproduction(コプロダクション)」(協働・共同創造)への関心が世界的に高まっています。
本研究では、よいサービスを作り上げるための要素として協働・共同創造の実践を捉え、協働・共同創造が行われている組織の実践を国内外から収集し、①共同創造が行われると何が起きるのか、②協働・共同創造はどのような場、どのような条件で起こりやすいのかを明らかにすることで、特に日本の精神保健医療の中で③協働・共同創造に取り組みやすくするための提案を行います。


当事者を含めた多職種によるリカバリーカレッジ運用のためのガイドラインの開発

日本医療研究開発機構(AMED)
障害者対策総合研究開発事業
精神障害分野
研究期間: 2016年4月 – 2019年3月 代表者: 宮本 有紀

リカバリーカレッジは、英国におけるリカバリー志向の精神保健サービスの中核的存在となりつつあり、その運用に国際的な関心が寄せられています。本研究は、精神障害の経験のある当事者スタッフと専門職スタッフとでリカバリーカレッジを共同制作・運用するためのガイドラインを開発することを目標とします。このガイドライン開発を通じてリカバリー促進に効果的な実践の情報提供と、ピアスタッフも含む多職種協働のための実践上の工夫の提示を目指します。


Development of recovery college operation guidelines: Co-production and co-delivery by a multi-professional team including people with lived experiences

Japan Agency for Medical Research and Development (AMED)
Research and Development Grants for Comprehensive Research for Persons with Disabilities
Mental Disorder Area

Recovery colleges have become a central component in recovery focused mental health services in England and there is currently significant interest internationally in the operation of recovery colleges. In our study, we will develop a set of guidelines for the operation of a recovery college which is co-produced and co-delivered by multiple professionals, including people with lived experience of mental health challenges. We aim at providing information on facilitating recovery, and tips for co-production and collaboration with multi-professionals including peer support specialists.

新着記事

日本のリカバリーカレッジ(2024年8月時点)

共同創造の実践例としていつもご紹介させていただくリカバリーカレッジ。 日本でリカバリーカレッジの理念(共同創造で運営されていて、誰でも参加できる、学びの場)に基づいて活動しているとお聞きしているカレッジの一覧を作りたいと思いつつ、全部を網羅はできていないのでかえってご迷惑をおかけしちゃうかな、と思い掲載を迷っておりましたが、以前掲載した、2022年10月時点のリストも参考になった、と言っていただいたこと、また、その後もオープンしているとお聞きしているので、私の知っている範囲で、公開されているウェブサイトやフェイスブックページなどのリンクと共にあげさせていただきます。(2024年8月) ここに載っていないリカバリーカレッジもあると思います。リカバリーカレッジの認定機関があるわけではありません。 リカバリーカレッジと名乗っていなくても、共同創造によって運営されていて、誰でも参加できる学び合いの場の実践をされているところもたくさんあります。 現在活動をお休みしているところもあるようです。(2022年10月のリストに挙げていたカレッジで2024年8月時点では開講されていなくても、閉校したとお聞きしたわけではない場合には、掲載させていただいております) カレッジによって、第一回講座をしました、とか、オープン、など表現が異なるのを宮本が勝手に「開校」と表現してしまっております。便宜上、講座の開催を「開校」とさせていただきましたが、どのカレッジも準備などの活動をもっと前からされています。 ここで掲載しているリカバリーカレッジは医療・福祉ではないものを挙げております。デイケアや福祉サービスの中で「リカバリーカレッジ講座」をされている組織もたくさんあるのですが障害のある人だけが対象となってしまうものはここには掲載しておりません。 どのカレッジの方ともご連絡が取れるのですが、今回は、個別の問い合わせなどはせず、あくまでも公開情報からわかることだけ掲載させていただきました。 準備中のカレッジは、リカバリーカレッジの活動として公開されている情報やウェブページ等がある場合に記載させていただきました。 情報は、宮本調べで、間違いもあるかもしれません。間違いなどに気づかれましたらぜひ教えてください。 リカバリーカレッジ (東京都三鷹市) 2013年開校 https://sudachikai.eco.to/pia/index.html リカバリーカレッジたちかわ (東京都立川市) 2015年開校 http://recoverycollege.jp/tachikawa/ リカバリーカレッジ名古屋 (愛知県名古屋市) 2018年開校 https://recoverycollege-nagoya.com/ リカバリーカレッジみまさか (岡山県美作市) 2019年開校 https://www.facebook.com/recovery.college.mimasaka/ リカバリーカレッジOKAYAMA (岡山県岡山市) 2019年開校 https://rcokayama.jp/ リカバリーカレッジSAGA (佐賀県佐賀市) 2019年開校 https://m.facebook.com/profile.php?id=100068255426060 リカバリーカレッジあんなか (群馬県安中市) 2019年開校 https://www.facebook.com/recoverycollege.annaka/ リカバリーカレッジおおた (東京都大田区) 2020年開校 https://sites.google.com/edu.teu.ac.jp/recoveryota リカバリーカレッジねやがわ (大阪府寝屋川市) 2021年開校 https://rcneyagawa.blog.fc2.com/ (新しいページがあるのか?わからず) リカバリーカレッジふくおか (福岡県福岡市) 2021年開校 https://lilyfukuoka.jp/ac/rcf リカバリーカレッジKOBE (兵庫県神戸市) 2022年開校 https://rcchauchaukobe.jimdofree.com/ リカバリーカレッジ高知 …

共同創造Co-production資料32 利用者や家族とのパートナーシップ

World Psychiatryという学術誌に掲載されていたWPA(世界精神科協会)ニュースの記事です。 Männikkö, M., Cano, G.M., Savage, M., Sunkel, C., Javed, A., Ng, R.M.K. and Amering, M. (2024), Report by the WPA Working Group on Developing Partnerships with Service Users and Family Carers (2020-2023). World Psychiatry, 23: 307-308. https://doi.org/10.1002/wps.21221 “Nothing about us without us!”(私たちのことは私たち抜きで決めるな)は今や当然の流れとなっていると思われ、全てのことをその状態の当事者とパートナーシップで行うことが求められるようになってきていると思います。 そんな中で、心理社会的障害のある人たち(精神健康不調の経験のある人たち)とのパートナーシップでの活動の例(評議会メンバーにその状態の実体験をもつ人たちが必ず入る、など)がこのニュースではいくつも挙げてあります。 World Psychiatryという雑誌では、精神疾患のある人との共同執筆論文の掲載が続いていたり、共同創造に関する論説があったりと、組織をあげて共同創造や患者市民とのパートナーシップによる活動を重視し、推し進めているのだなということをこのところひしひしと感じています。このように影響力のある団体や学術誌がこのように発信していくことの重要性を感じます。 東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀

リカバリーカレッジでの「学び」「教育」

リカバリーカレッジでの学びについて。 英国のリカバリーカレッジの説明では Educational Approachという言葉が必ず出てきます。 これを日本語に訳すときに、教育的アプローチ、とか、教育学的アプローチと訳してきたのですが、 そして実際に、教育学的な考え方に基づくアプローチであることは確かだと思うのですが、 日本で「教育」と言ったときに出てくるイメージが、どうしても学校を連想させてしまい、 リカバリーカレッジで目指しているのは、いわゆる日本の学校ではないような気がする、、と仲間とよく話しています。 そのようなこともあり、日本語にするときに「学び」と言い換えたりしているのですが、これも厳密には違うのだろうなと思っています。 そして、英国のリカバリーカレッジ関係者の方たちが、リカバリーカレッジでの教育について語るときに出てくるのが アンドラゴジー(成人学習理論)、成人学習、パウロ・フレイレです。 ここで説明できるど私自身は詳しくないのですが、これらはリカバリーカレッジの実践に関わるのであれば知っておくとよいことなのだろうなとは感じます。 パウロ・フレイレの「被抑圧者の教育学」や、アンドラゴジー、成人学習については、リカバリーカレッジについて知って学んだことでした。 成人学習について、日本のリカバリーカレッジの講座で扱ったり、あるいはリカバリーカレッジ関係者の勉強会などをやったりするのも良いのかもしれないなと思いました。 つぶやきでした。 東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀

連絡先

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「当事者を含めた多職種によるリカバリーカレッジ運用のためのガイドラインの開発」に携わっております東京大学大学院医学系研究科精神看護学分野の研究事務局が運用しております。

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