共同創造 Co-production資料21: involve resources

以前資料18でご紹介したINVOLVEのResources(資料集)の中の、Co-productionの項目のご紹介をしたいと思います。https://www.involve.org.uk/resources/methods/co-production (2022/5/22アクセス)

一番上の黄色い部分に「一目でわかるまとめ」的なものがあり、そこには、費用「さまざま」、期間「さまざま」、参加者数「小グループ」、参加者の選定「サービス提供者と利用者」、オンライン・対面「主に対面」とあります。

共同創造についての説明
組織がよいサービスを提供するためには、組織は利用者の必要としていることを理解し、利用者がサービスの構築や提供に密接に関わる必要があるという認識に基づく。これは単に利用者が意見を言うとか、組織の相談に乗るということではなくて、共に、対等な立場で貢献するということ。

共同創造に参加する人
サービスの最前線にいる人、つまりはサービスを提供する人(支援者)と利用者である人がある。

費用
共同創造の過程の長さ、参加者数、参加者への謝礼・報酬によって異なる。

時間
多様。共同創造は時間がかかる。すべての意思決定段階で利用者を巻き込み意思決定をサポートする必要がある。

強み
サービス利用者の感じていることや知恵を活用する
利用者と専門職(や住民と政治家)が対等に協力して互いから学ぶ
そこに参加する人に技術、自信、こんな風になりたいとかこんな風にしたいといった気持ちをもたらす

弱み
グループが大きいと難しい
共同創造に招かれなかった人からすると、排他的なグループ、自分たちの声を代表している人は入っていないように見えるかも
全ての参加者(利用者も専門職も)にとって、時間がかかるし、献身が必要。

そして、このページに動画があって、この動画に、資料19に出てきたHeadway とかPaxton Greenなども出てきています。

共同創造は人数が多いと難しいところがあるな、と感じてはいたのですが、ここにもそう書いてあった!小グループ向きなんだな、と自分の感覚とも合っていることにうれしくなりました。
HeadwayやPaxton Greenの活動について、資料の中の文字だけで読んでいるのと、こうやってそこでの様子がちらっと映っていたり、そこで活動している人の顔が見えるとぐっとイメージがわきやすくなるなと思いました。このあたりも、共同創造のAccessibilityというのでしょうか、それぞれの人のアクセスしやすい形で情報や場を設定する、ということに関係しているのかなと思いました。
なお、この資料は、アップされた日などがどこにも記載されておらず、きっと今後もどんどん更新されていくのだろうな、と思いました。

東京大学 コプロダクション研究チーム 宮本有紀

共同創造Co-production 資料20: co-production SCIE動画

共同創造(コプロダクション)についての動画です。こちら、以前にもご紹介した social care institute for excellence (scie)のSocial Care TV  https://www.scie.org.uk/socialcaretv/ の中の「Co-production and participation videos」https://www.scie.org.uk/socialcaretv/topic.asp?t=coproduction のうちの一つです。

今回ご紹介する「Have we got co-production news for you: episode one」は、YouTube https://www.scie.org.uk/socialcaretv/video-player.asp?v=havewegotcoproductionnewsforyou1 でも見ることができます。

5分12秒の動画で、共同創造についての問いにクイズ形式的に出演者が答えていく、というもので、SCiEのコプロダクション長や、ほかの部門の方、Care Leaversのコンサルタント、Think Local Act Personalのコプロダクション/平等部門長やLambethのコミッショナーなどが楽しそうに出演しています。

第1問:共同創造(コプロダクション)はお金の節約になるか?

共同創造をはじめるにあたっては、お金の節約にはならない。たくさんの資源を投じる必要がある。これはお金のことだけでなく、時間。そこに関わる全ての人の時間を投じる必要がある。とはいえ、長い目で見ればたぶんお金の節約になる。なぜなら、人々が本当に欲しいサービスとなるはずなので無駄が少なくなるはず。

第2問:共同創造できない人っていますか?

どんな人、どんな患者、どんなニーズ、どんな能力、どんな状況の人も共同創造できる。

第3問:Participation(参加や参画)とCo-production(共同創造)は同じか?

違う。同じではない。ただその場で席についているだけでも「参加していた」ということになる。しかし、共同創造というときには、まったく違うものだ。本当に最初の段階から関わって、そのプロセスを一緒に歩む。
専門職から利用者へ権限を委譲、共有することとなる。そこが共同創造の難しいところ(やりがいのあるところ)。

第4問:共同創造は簡単な選択肢だろうか?

管理職にとって、共同創造というのはとても耳障りがよく、いいね、これやろう!共同創造でやろう!と管理職は言いがちだが、最前線の実践者にもその考えが届き、確かな共同創造となっていなければ、よい効果は得られない。聞こえが良いだけのものとなってしまう。

というものでした。

文章でも、実践のためのメッセージ、ということで、
1.共同創造をはじめるときには時間と資金を。
2.プロセスのはじめのところから、サービスを利用する人々と対等で完全なパートナーシップを築くよう努める。
3.専門職の権限をサービス利用者の人々へ委譲していく方法を考える。
4.組織で働くあらゆる層のすべての人が共同創造に取り組む。
5.それぞれの集団、それぞれの特徴によって異なるアプローチが必要となるかもしれない。

ということが書かれていました。

短い動画で、いろいろな立場の人が楽しそうに参加している動画でした。また、おそらく、さまざまな障害やバックグラウンドをお持ちの方が登壇していて、そのことは特に語られておらず、それが当たり前のように一緒に話している、こういったところにも共同創造を示しているんだなと感じました。きっと何かのクイズ番組の真似なのだろうな、と思って調べてみたところ、どうやら、Have I Got News For You という、イギリスのBBCのニュースクイズ番組(おそらく老舗番組)を真似て楽しみながら、内容をコプロダクションについて真面目に話す、という趣向のようです。文章で教科書的に書いてあるよりも伝わってくることがいろいろありました。動画の力ってすごいなと思いました。

東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀