前回に引き続き、Roper, Grey, Cadoganによる、Co-production: putting principles into practice in mental health contexts(共同創造の原則を精神保健領域での実践に取り入れる)
https://healthsciences.unimelb.edu.au/departments/nursing/about-us/centre-for-psychiatric-nursing/news-and-events/test
冊子のPDFはこちら
についてです。
Roper C, Grey F, Cadogan E. Co-production – Putting principles into practice in mental health contexts. 2018.
ここでは、old power(旧来のパワー)、new power(新しいパワー)について対比されていて
旧来のパワー(権力)の価値観では、
- 管理主義、制度主義、代表統治
- 排他性、競争、権威、資源の統合
- 裁量、守秘義務、私的領域と公的領域の分離
- プロフェッショナリズム、専門化
- 長期的な所属と忠誠心
全体を通じての参加は少ない
新しいパワーの価値観は
- 非公式、参加意思のある人たちによる意思決定、自己組織化、ネットワークガバナンス
- オープンソースコラボレーション、集団の知恵、共有
- 根本的な透明性
- DIY、作る文化
- 短期的、条件付き所属
全体を通じての参加はより多い
Source: Jeremy Heimans and Henry Timms, 2014
として挙げられていました。
ちなみに、
Jeremy Heimans and Henry Timms, 2014 とは
Heimans, J., & Timms, H. (2014). Understanding “New Power”. Harvard Business Review, https://hbr.org/2014/12/understanding-new-power
です。
コプロダクションに大切なこととして、
- その取り組みに関わる全員が、コプロダクションとその取り組みに賛同し、その両方を擁護する意思がある。個人や組織の中途半端な参加は、グループの活動を前進させるのに十分ではなく、有害になる可能性がある。
- 組織の背景などがある場合、関連組織内のリーダーや意思決定者が、コプロダクションとその取り組みの両方について、始める前から理解し、支援すること。
- 関係者全員が、リスクを取ることを厭わない。コ・プロダクションは、仕事とパートナーシップに取り組む新しい方法である。計画して熟慮しつつリスクを取ることは、その過程で見出されていく新しいパワーやさまざまな動き方の利点を認識するために必要である。
- グループ内の人々にコプロダクションへの対応力がない場合、コプロダクションの専門知識と支援へのアクセスが必要である。
が挙げられていました。
これまでの常識のようなものが旧来の力として新しいものの発現や創造を妨げてしまうことがあり、新しい考え方や新しい価値観にひらかれている、ということがコプロダクションで重要なことだということを感じます。それと同時に、自分は新しい価値観や自分と異なる考え方にひらかれているだろうか、自分が思っていることとは違う意見がたくさん出てきたときに、その場にとどまり一緒に作っていこうと思うには、何のために、というミッション(?)と、互いへの信頼や敬意が必要だな、と感じました。
東京大学 コプロダクション研究チーム 宮本有紀