共同創造Co-production資料30 精神保健医療研究での共同創造

またまた研究の共同創造に関する文献です

Soklaridis, S., Harris, H., Shier, R. et al. A balancing act: navigating the nuances of co-production in mental health research. Res Involv Engagem 10, 30 (2024). https://doi.org/10.1186/s40900-024-00561-7
(バランスをとる行為:精神保健医療研究における共同創造のニュアンス)

これは公開されている論文で、カナダのリカバリーカレッジで実際に共同創造に携わっている人たちが執筆している論文です。
この研究では、まず、著者らはどのような立場なのかを表1で記載していて、自分はどんな背景をもって、どんな社会階級で、というようなことがそれぞれの言葉で記載されています。

そして、この論文では、本人たちの参加型アクションリサーチで、自身たちの共同創造における4つの価値観

1. Navigating power relations together
権力や力関係に共に関与する

2. Multi-directional learning
多方面からの学び

3. Slow and steady wins the race
ゆっくりと着実に

4. Connecting through vulnerability
弱さを通してつながる

について記載しています。

この論文は、精神保健医療研究での共同創造、とタイトルにあり、実際にこの方たちで共同研究に取り組む中で生み出された研究であるということも記載されていますが、これは研究に限らず、共同創造のプロセスどれにも共通することかもしれないと感じました。

共同創造を本気で実践するのは簡単とは言い切れないと思いますが、そのことも含め、共同創造の過程で発見したことについてこのように記載されていることは貴重なことだと思いました。また、著者らが自分たちは何者なのか、研究者や研究対象としてどのように互いに関わるかについて考え、それをこの表のような形で記載していることに感銘を受けました。質的研究では、研究者がどのような立場でどのような視点でその研究に携わったかを記載することが多いと思いますが、量的研究では研究者は客観的な立場(というのがあたかもあるかのように)を求められ、研究者のことが言及されることはほぼありません。しかし、実際には研究者の背景、考え方はその視点や発言に大きな影響を与えており、そのことを無自覚なままに観察することの危険についてもこの論文から気づかされました。
東京大学コプロダクションチーム 宮本有紀

リカバリーカレッジの文化祭が名古屋市で開催されました(2024/2/24)

2024年2月24日(土)に、リカバリーカレッジ文化祭といって、全国のリカバリーカレッジが集まる催しが愛知県名古屋市で開催されました。

この、リカバリーカレッジの文化祭、というのは、全国のリカバリーカレッジで集まってみんなでお互いの講座などに参加したり発表しあったりしましょうよ、ということで2022年に岡山で第一回が、2023年は久留米で第2回目が開催されていて、今回の名古屋が第3回目でした。
その前から、リカバリーカレッジに関する報告会や研修会に全国のリカバリーカレッジの仲間たちが集まったり、リカバリーカレッジのつどいなどを開催してきたのですが、「文化祭」と名付けた催しとなってから、各地のリカバリーカレッジが持ち回りで開催をするようになっています。

名古屋の文化祭のチラシです↓。文化のみち撞木館という、趣のある素敵な会場でした。

リカバリーカレッジ文化祭 in 名古屋