リカバリーカレッジに関する文献のご紹介です。
リカバリーカレッジに関する研究の一部を、少しずつでもご紹介できればと思っていて前回、前々回と28カ国の調査についてご紹介しました。
今回は、前回と同じ小寺 康博(Yasuhiro Kotera)さんが筆頭著者のリカバリーカレッジと文化に関する研究論文です。
論文情報:
Kotera Y, Miyamoto Y, Vilar-Lluch S, Aizawa I, Reilly O, Miwa A, Murakami M, Stergiopoulos V, Kroon H, Giles K, Garner K, Ronaldson A, McPhilbin M, Jebara T, Takhi S, Repper J, Meddings S, Jepps J, Simpson AJ, Kellermann V, Arakawa N, Henderson C, Slade M, Eguchi S.
Cross-cultural Comparison of Recovery College Implementation Between Japan and England: Corpus-based Discourse Analysis.
International Journal of Mental Health and Addiction. 2024. doi: 10.1007/s11469-024-01356-3
https://link.springer.com/article/10.1007/s11469-024-01356-3
題名は
Cross-cultural Comparison of Recovery College Implementation Between Japan and England: Corpus-based Discourse Analysis.
(リカバリー・カレッジ実践に関する日英の異文化比較: コーパスに基づく談話分析)
です。
(コーパスというのは、元は言語学の用語のようで、言葉の使い方などを大規模に集めたもののようです。現在はデジタル化されて提供されているようです。)
前回紹介した研究で、リカバリーカレッジのあり方ははその国の文化によって異なりそうだということがわかりました。このため、この研究では、特に対照的な文化的特徴を持つイギリス(個人主義的、短期志向的)と日本(集団主義的、長期志向的)で、リカバリーカレッジがどのように表現・広報されているのかを調査しています。
この研究は、イギリスと日本で公開されているリカバリーカレッジのウェブサイトから、それらカレッジのチラシやカレッジの講座の案内などからそこで用いられている用語を収集し、談話分析が行われました。
具体的には、どのような用語が使われているか、頻度高く用いられている言葉とその文脈を調べました。
その結果、両国とも、精神疾患の当事者経験を強調していました。また、日本では、リカバリーの関係性や長期的な側面に焦点があてられ、イギリスではパーソナルな(個人的な)学びとスキルの修得に焦点が当てられていました。
この研究では、日本語の用語を英訳して分析に用いているので、言語翻訳の過程でニュアンスなどが異なってしまう可能性ごああるという限界があるかと思います(そのほかの限界点も論文内に記載してあります)。しかし、リカバリーカレッジをどのように広報されるかというのは、リカバリーカレッジを運用している人たちが自分たちのリカバリーカレッジをどのように思っているか、届けたい対象にどこを伝えたいかが含まれていると考えられるため、公開資料の分析というのは、インタビューとはまた違っておもしろいアプローチであると感じています。
東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀
