共同創造Co-production資料38 精神健康に関する言葉

さまざまな経験をもつ人たちとお話しするときに、これまで医学の領域で使われていたような言葉(病識がない、とか、統合失調症患者、とか)は、何かとても失礼な言葉だったのではないか?と思うようになり、そして、医療者の視点から使っていた言葉でこれまで思考し、行動してきてしまったのではないか?と気づき始めました。

“ケアとサポートで私たちが使う言葉は、態度を形成し、行動に影響を与え、人生に影響を与える。” (Think Local Act Personal. Language.)

Language

ということで、Think Local Act Personalにケアやサポートの領域における言葉「Language」に関する資料がいくつもアップされていました。

そしてその中に、「精神健康に関する言葉」ということで、ケアや支援を利用する人とその領域で働いている人とで作られたガイド(ページ)が掲載されていましたのでご紹介です。

Communicating about mental health

たとえば

Mental health challenges

This is our preferred term for communicating about mental health conditions. We think ‘challenges’ focuses less on something being ‘wrong’ with a person, and more on the difficulties people face with their mental health due to things that have happened to them or are happening around them, and also difficulties with getting support that works for them.

(日本語に勝手に訳してみると↓)

メンタルヘルスの課題(チャレンジ)
これは、私たちが精神健康上の状態について伝える際に好んで使う言葉です。 私たちは、”課題 (チャレンジ)”という言葉は、その人の何かが “悪い “ということよりも、その人の身の回りで起きたことや起こっていること、またその人に合ったサポートを受けることの難しさによって、その人が精神的な健康に直面する難しさに焦点を当てたものだと考えています。

というような解説があります。

 

これは英語の言葉についてのガイドなのですが、これを日本語に訳すというよりも、日本の人にとっての好ましい日本語の言葉を考えることが重要なのだろうと思います。また、言葉は、時代と共に変わっていくものですのでどの言語だったとしても、継続的なアップデートは必要なのでしょう。
私自身は、臨床実践や、講義や研究をする中で、これまで、失礼な表現や、言われた人が傷つくような言葉をたくさん使ってきてしまったと思っています。そのことを考えるだけで申し訳ない思いになりますし、自分に対しても悲しくなります。しかし、今後誰かを傷つけることを恐れて何も言わないのではなく、なんという表現が良いか、共同創造の中で確認しながら、そしてお互いに勇気をもって思ったことを差し出し合える、そんな関係を築いて進めていけたらと感じています。

東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀

共同創造Co-production資料37 障害をもつ人との共同創造研究のガイドライン

資料36で紹介した、共同創造研究を行う際の倫理のガイドラインを見ていて、ニューサウスウェールズ大学(the University of New South Wales: UNSW)のDisability Innovation Institute (障害イノベーションセンター)からほかのガイドラインも出されていることがわかりました。

DOING RESEARCH INCLUSIVELY: Guidelines for Co-Producing Research with People with Disability (「誰もが参加できる研究をする:障害をもつ人と研究を共同創造するにあたってのガイドライン」←宮本の意訳)です。

Strnadová, I., Dowse, L., & Watfern, C. (2020). Doing Research Inclusively: Guidelines for Co-Producing Research with People with Disability. DIIU UNSW Sydney.  https://apo.org.au/node/310904

このガイドラインは、UNSWや他の学術研究者、障害当事者、障害関連組織やその他の関係者のために作成され、研究の共同創造を行うために、研究に誰でも参加できるようにと2019年に行われた障害に関する共同創造のワークショップに参加した人々から出てきた内容をまとめたものであると記載されています。

この文書では、共同創造から得られるもの、共同創造の原則、共同創造の方法が記載されています。

特に共同創造による研究を行う際の方法(strategy)に紙面が割かれています。

 

共同創造研究をするにあたり、誰がチームにいると良いか?共同創造をする共同研究者への謝礼はどうするか?会議の頻度や場所や進行、議事録管理、研究技術に関する研修、倫理申請、決定権の共有、チームメンバーへのサポート、どんな風にチームに関わり続けてもらうか、チームの安全を保つにはどうするか、その共同創造研究による効果をどのように評価するか、などが記載されていました。自分には考慮できていなかったことがたくさんあり、とても参考になりました。
東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀

共同創造Co-production資料36 共同創造研究での倫理

共同創造というとリカバリーカレッジでの実践がすぐに思い浮かぶのですが、医療やケアの実践だけでなく、研究でも共同創造が大事だと言われるようになっています。

そんな中、「誰もが参加できる研究をする:共同創造を行う際の倫理のガイダンス」(かなりの意訳です。原題は「Doing Research Inclusively: Guidance on Ethical Issues in Co-production」)という、共同創造による研究を倫理的に行うためのガイドラインを見つけました。

Strnadová, I., Dowse, L., Garcia-Lee, B., Hayes, S., Tso, M., & Leach Scully, J. (2024). Doing Research Inclusively: Guidance on Ethical Issues in Co-Production. Disability Innovation Institute, UNSW Sydney. https://www.disabilityinnovation.unsw.edu.au/inclusive-research/guidelines

これは、オーストラリアのUniversity of New South Wales (UNSW)という大学のDisability Innovation Institute(障がいイノベーション研究所)という、2017年に設立されたセンターから公開されているものです。

共同創造研究が大事、市民共同参画の研究が大事、と言われていますが、いわゆる「研究者」と名乗ってきたわけではない人たち(患者、利用者、家族など)も研究に関わるということは、これまで医学研究の倫理等を考える際に想定されてきておらず、これまでの研究計画や倫理申請での「当たり前」とは異なる視点が必要とされています。このガイダンス文書は、共同創造研究を行う研究者が、研究計画を考えたりその研究の倫理申請をしたり、そのような研究の倫理的側面を審査する研究倫理委員会が理解を共有するために作られたそうです。

この文書には、研究者や倫理委員向けのPDF版と、情報を簡潔にわかりやすく書いたEasy Read版があります。

PDF版には、障害領域での研究における共同創造での倫理に関する重要点として、

  • 共同創造は誠実性を高める(CO-PRODUCTION ENHANCES INTEGRITY)
  • 申請過程に(共同創造研究者が)アクセスできない(INACCESSIBLE APPLICATION PROCESSES)
  • 申請過程における害(HARM IN THE APPLICATION PROCESS)
  • 共同創造についての誤った思い込み(COUNTERPRODUCTIVE ASSUMPTIONS)
  • 矛盾する倫理原則(CONFLICTING ETHICAL PRINCIPLES)
  • 倫理審査の過程に不慣れ(UNFAMILIARITY WITH THE PROCESS)
  • 経験と動機のばらつき(VARIABILITY IN EXPERIENCE AND MOTIVATION)
  • 対立ではなく学ぶ(EDUCATION RATHER THAN CONFRONTATION)

についてあげられています。また、この文書では特に以下の項目それぞれについて留意点、研究者として考えること、倫理委員会として考えることが記載されていました。

  • 共同創造での関係性(Relationships in Co-Production)
  • 共同創造の過程(Processes of Co-Production )
  • 共同創造における役割(Roles in Co-Production)
  • 共同創造で得られるものと危険(Benefit and Risk in Co-Production)
  • 共同創造における脆弱性と能力(Vulnerability and Capacity in Co-Production)
  • 共同創造の質(Quality in Co-Production)
  • 倫理的な共同創造によってよりよい実践を(Building Better Practice in Ethical Co-Production)

 

共同創造について、英国の資料を目にする機会が多いのですが、オーストラリアからもこのように資料が出されていて、それらが誰にでも読める形で公開されていることに、感謝を覚えますし、インターネットやAI翻訳などの普及で、伝達もされやすくなっているだろうと感じました。
もちろん、共同創造は参加する人によって異なるはずですし、文化が異なればもちろん共同創造のありかたも違うだろうとは思いますので、イギリスやオーストラリアのものも、ただそのまま日本に持ち込むというよりは日本での参加者の方たちと話し合っていくことが重要であるとは思います。
東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀

 

 

リカバリーカレッジの文化祭が東京都大田区で開催されました(2024/12/8)

2024年12月8日(日)に、リカバリーカレッジ文化祭が東京都大田区で開催されました。

リカバリーカレッジの文化祭は、全国のリカバリーカレッジで集まってみんなでお互いの講座などに参加したり発表しあったりしましょうよ、ということで2022年に岡山で第1回、2023年は久留米で第2回、2024年2月に名古屋で第3回が開催されていました。
文化祭が開催される前は、2016年ごろ?から、リカバリーカレッジに関する報告会や研修会に全国のリカバリーカレッジの仲間たちが集まったり、リカバリーカレッジのつどいなどを開催してきたのですが、「文化祭」と名付けた催しとなってから、これは楽しい!ということで、各地のカレッジをまわりながら(?)開催をするようになっています。

今回のリカバリーカレッジ文化祭のチラシです。

今回の文化祭の主催団体だった、リカバリーカレッジおおたのメンバーも多数関わっている精神障害当事者会ポルケさんのウェブサイトにも当日の写真が掲載されています。https://porque.tokyo/2024/12/23/rcbunkasai4/

福祉新聞さんが取材にいらしてくださり、掲載してくださいました。https://fukushishimbun.com/hoken/38291

共同創造Co-production資料35 Co-production collective(共同創造に関する組織)

共同創造について調べたい時に、「co-production」という言葉でインターネットを検索するとさくさんの情報がヒットします。(正直なところ、読みたい情報が多すぎて、もうなかなか間に合わないのですが)

今回は
Co-Production Collective https://www.coproductioncollective.co.uk/
という集まり(組織?)についてのメモです。

Co-Production Collectiveという組織は、元は、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London = UCL)という大学のメンバーも設立にかかわっているようです。現在はUCLの、Co-Production and Public Engagement at UCL https://www.ucl.ac.uk/public-engagement/ の一部になっているようです。2017年にできたようで、「医療の研究、革新、実践における共同創造をサポートするセンター」を共同設立しようと集まったとのことで元はUCLコプロダクションセンターという呼び名だったそうです。

この集まりには、なんらかの当事者としての経験がある人、市民、研究者、その他共同創造が実践されている職場で働いている人などが参加しているそうで、自分達に支払われる謝金や方針なども共同創造で決めているとのことです。

資料の掲載 https://www.coproductioncollective.co.uk/championing-co-production/resource-library や、一緒に共同創造しましょう!という募集などさまざまな情報があります。

 

この組織の活動を補佐しているチーム(事務局的な?)や相談に乗ってくれるチーム(さまざまな経験のバックグラウンドのある人々)などについても、写真付きで公開されていて(おそらく載せて良い人だけですが)、そこに人間がいることを感じることができました。また、こういった活動をしていくためにもつながり方や役割がいろいろあることや、誰かがどこかで決めているということではなく、そこに参加している人が見える、ということにも意味がありそうだなと感じました。
日本でもこんなことができたらいいな、しかも、いろいろなところで(誰もがアクセスしやすい各地に)できたらいいな、と思ったりしています。
東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀

 

共同創造とImROCとリカバリーカレッジ関係者の研修会

ImROC(イムロック)という組織がイギリスにあります。

https://www.imroc.org/

リカバリーカレッジのことを知りたいと思い、2015年(もう10年たってしまった、、、)に初めてイギリスのリカバリーカレッジに訪問させていただいたのですが、その際にImROCにも伺わせていただきました。ImROCの関係者の方々がとても熱意をもって共同創造の大切さ、リカバリーカレッジの面白さを話してくださったのが印象的でした。

ImROCの名前は、Implementing Recovery through Organizational Change (組織変革をしてリカバリー実践を)とお聞きして、その名前にも感動したのですが、現在はこのウェブサイト https://www.imroc.org/ を見ても名前の由来などは特に記載していないようです。

このImROCでは、リカバリーに関係する資料を多数公開してくれており、https://www.imroc.org/publications 参考になるものばかりです。

また、ImROCでは、リカバリーカレッジの質を高めるための支援を英国内外へ行っていて、2024年夏にはリカバリーカレッジふくおかの関係の皆様でImROCのコンサルタントを招へいし、リカバリーカレッジを運営する人々のためのワークショップを開催してくださいました。 https://lilyfukuoka.jp/a/451

台風がちょうどやってきて、時間を短縮したりせざるを得ない状況となりましたが、リカバリーカレッジについて各地のカレッジ関係者の皆さんと皆でさらに学ぶことができました。本当にありがとうございました。

(ちなみに、2019年8月にもリカバリーカレッジに関する研修会があり、イギリスから講師にいらしていただいていました。)

このような研修会を開催してくださる皆様、本当にありがとうございます。

共同創造Co-production資料34 精神保健医療研究での共同創造(青年期)

またまた研究の共同創造に関する文献です。World Psychiatryという精神医学領域の学術誌にここ数年、その疾患状況を経験した人(患者としての体験のある人)と学術関係者(研究者)によって執筆された論文が連続で掲載されています。

Fusar-Poli P, Estradé A, Esposito CM, Rosfort R, Basadonne I, Mancini M, Stanghellini G, Otaiku J, Olanrele O, Allen L, Lamba M, Alaso C, Ieri J, Atieno M, Oluoch Y, Ireri P, Tembo E, Phiri IZ, Nkhoma D, Sichone N, Siadibbi C, Sundi PRIO, Ntokozo N, Fusar-Poli L, Floris V, Mensi MM, Borgatti R, Damiani S, Provenzani U, Brondino N, Bonoldi I, Radua J, Cooper K, Shin JI, Cortese S, Danese A, Bendall S, Arango C, Correll CU, Maj M. The lived experience of mental disorders in adolescents: a bottom-up review co-designed, co-conducted and co-written by experts by experience and academics. World Psychiatry. 2024 Jun;23(2):191-208. doi: 10.1002/wps.21189. PMID: 38727047; PMCID: PMC11083893. https://doi.org/10.1002/wps.21189

(青少年における精神障害の体験:経験による専門家と学者の共同デザイン、共同実施、共同執筆によるボトムアップレビュー)

この研究は、自身の経験による専門家(experts by experience)(患者、その家族やケアする人)と学者からなる共同チームを立ち上げ研究を実施したとのことです。以前も同じ研究者の参加しているチームの論文(うつ、サイコーシス)をご紹介しました。このチームでたくさんの文献検討研究をしたということですね。)

この研究は、「青年期の精神障害の内的主観的体験」、「より広い社会での青年期精神障害者の体験」、「精神医療を受ける青年期精神障害者の体験」についてワークショップを開催し、全体として18人の当事者経験のある若者に参加してもらい、分析が行われたとのことです。

「青年期の精神障害の内的主観的体験」としては、気分障害では、アイデンティティの変化を経験する、圧倒されるような激しい感情の経験、自分の心の中に閉じ込められた感じ、周囲の世界が消えていくのを見る、精神病性障害では、生活世界と自己における広範な変化の経験、自ら出てしまった魚のように感じる、といった感じで、ADHD、自閉症スペクトラム障害、不安障害、摂食障害、外在化障害、自傷それぞれについて、当事者の声が掲載されている質的研究からの引用と、ワークショップに参加した当事者経験のある若者の声が掲載されています。

 

この論文を読んでいて、これまでの質的研究からの引用と、ワークショップに参加した若者の実体験から出ている言葉により、本人の体験が鮮やかに感じられた気がします。医学や看護学の教科書や疾患の理解は、本人以外の人からの視点で説明され、外側から見る視点が多いのですが、もっと知りたいのは本人にはどのような経験がされているか、だな、と改めて感じました。特に精神科領域では、本人にとっての個別のリカバリー、ご本人が生きやすくなることが何より重要なわけで、ご本人からの視点を知ること、そしてそれは皆違うということを知ることが重要だと感じました。
東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀

共同創造Co-production資料33 精神科ケアでの患者参画

共同創造についてお話をさせていただく機会が時折あります。そのようなときに、「共同創造」はどんな場面で?と自分なりの整理に役立った、Tambuyzerさんというベルギーの方の論文がありまして、2011年の論文ですが、自分のメモのためにもこちらに紹介させていただきます。

ここでは、共同創造ではなく、patient involvement (患者参画)がテーマなのですが、共同創造と患者参画は重なりがある考え方ですので、共同創造の資料としても意義があると思っています。

(共同創造や、患者市民参画の考え方は、この10年でどんどん広まり発展している(と私は感じている)ので、もっとわかりやすい整理などもあるのかもしれないとは思いますが。)

Tambuyzer E, Pieters G, Van Audenhove C. Patient involvement in mental health care: one size does not fit all. Health Expect. 2014 Feb;17(1):138-50. doi: 10.1111/j.1369-7625.2011.00743.x. Epub 2011 Nov 10. PMID: 22070468; PMCID: PMC5060706. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5060706/

著者らは、患者参加・患者参画・患者の関与(どれも同じ意味で使っていますのでこの先は患者参加という用語を用います)の考え方があいまいなので、患者参加について記載されている文献を分析し、患者参加について包括的に述べる、という研究です。

著者らは、患者参加を高めたり妨げたりするものとして
(i)患者に対するコミュニケーションと情報提供
(ii)患者参加に対する医療従事者の態度
(iii)患者参加に利用できる財源と時間
(iv)患者参加に関するすべての関係者の教育と支援
(v)患者参加のための手続きの利用可能性
(vi)患者参加のための法的枠組みの存在
を挙げています。

また、患者参加が起きることによる短期的な成果としては
患者のエンパワメント、患者のリカバリー、患者の満足度、医療へのアクセスのしやすさ、医療の質の高さ、健康度の向上
を挙げていました。

さらに、著者らは、患者参加の場面を整理し、
第一に、個人レベル・ミクロレベル(例えば、その人自身のケアプラン、セラピストの選択、治療の選択に関する決定への参加)
第二に、医療サービスレベル・中間レベル(例として、医療機関の顧問委員会への参加など)
第三に、政策レベル・マクロレベル(精神科医療政策を共同で決定など)
そして、研究と教育を含むメタレベルを提案する
と述べていました。

著者らは、患者参加の整理がなされておらず、たとえば参加のはしごなどは患者の意思決定の度合いという一側面だけを用いているが、もっと包括的に考える必要がある。しかし、患者参加は、関わる人や状況によって異なるので、画一的なものではない、と結論付けていました。

 

この研究では、医療の受け手を便宜上「患者」と呼ぶが、受動的な存在とみなしているわけではない、と用語の説明のところで述べていたり、論文要旨の冒頭で、精神科医療への患者参加は倫理的に求められるものである、と述べていたり、私にとっては、重要だと思われることが記載されているなと感じた文献でした。また、患者参加の場面分けが私にとってはとてもイメージがしやすくなり、自分の考えの整理や、共同創造の場面の説明にもよく使わせていただいています。
東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀

日本のリカバリーカレッジ(2024年8月時点)

共同創造の実践例としていつもご紹介させていただくリカバリーカレッジ。
日本でリカバリーカレッジの理念(共同創造で運営されていて、誰でも参加できる、学びの場)に基づいて活動しているとお聞きしているカレッジの一覧を作りたいと思いつつ、全部を網羅はできていないのでかえってご迷惑をおかけしちゃうかな、と思い掲載を迷っておりましたが、以前掲載した、2022年10月時点のリストも参考になった、と言っていただいたこと、また、その後もオープンしているとお聞きしているので、私の知っている範囲で、公開されているウェブサイトやフェイスブックページなどのリンクと共にあげさせていただきます。(2024年8月)

    • ここに載っていないリカバリーカレッジもあると思います。リカバリーカレッジの認定機関があるわけではありません。
    • リカバリーカレッジと名乗っていなくても、共同創造によって運営されていて、誰でも参加できる学び合いの場の実践をされているところもたくさんあります。
    • 現在活動をお休みしているところもあるようです。(2022年10月のリストに挙げていたカレッジで2024年8月時点では開講されていなくても、閉校したとお聞きしたわけではない場合には、掲載させていただいております)
    • カレッジによって、第一回講座をしました、とか、オープン、など表現が異なるのを宮本が勝手に「開校」と表現してしまっております。便宜上、講座の開催を「開校」とさせていただきましたが、どのカレッジも準備などの活動をもっと前からされています。
    • ここで掲載しているリカバリーカレッジは医療・福祉ではないものを挙げております。デイケアや福祉サービスの中で「リカバリーカレッジ講座」をされている組織もたくさんあるのですが障害のある人だけが対象となってしまうものはここには掲載しておりません。
    • どのカレッジの方ともご連絡が取れるのですが、今回は、個別の問い合わせなどはせず、あくまでも公開情報からわかることだけ掲載させていただきました。
    • 準備中のカレッジは、リカバリーカレッジの活動として公開されている情報やウェブページ等がある場合に記載させていただきました。
    • 情報は、宮本調べで、間違いもあるかもしれません。間違いなどに気づかれましたらぜひ教えてください。

リカバリーカレッジ (東京都三鷹市) 2013年開校
https://sudachikai.eco.to/pia/index.html

リカバリーカレッジたちかわ (東京都立川市) 2015年開校
http://recoverycollege.jp/tachikawa/

リカバリーカレッジ名古屋 (愛知県名古屋市) 2018年開校
https://recoverycollege-nagoya.com/

リカバリーカレッジみまさか (岡山県美作市) 2019年開校
https://www.facebook.com/recovery.college.mimasaka/

リカバリーカレッジOKAYAMA (岡山県岡山市) 2019年開校
https://rcokayama.jp/

リカバリーカレッジSAGA (佐賀県佐賀市) 2019年開校
https://m.facebook.com/profile.php?id=100068255426060

リカバリーカレッジあんなか (群馬県安中市) 2019年開校
https://www.facebook.com/recoverycollege.annaka/

リカバリーカレッジおおた (東京都大田区) 2020年開校
https://sites.google.com/edu.teu.ac.jp/recoveryota

リカバリーカレッジねやがわ (大阪府寝屋川市) 2021年開校
https://rcneyagawa.blog.fc2.com/
(新しいページがあるのか?わからず)

リカバリーカレッジふくおか (福岡県福岡市) 2021年開校
https://lilyfukuoka.jp/ac/rcf

リカバリーカレッジKOBE (兵庫県神戸市) 2022年開校
https://rcchauchaukobe.jimdofree.com/

リカバリーカレッジ高知 (高知県高知市) 2022年開校
https://linktr.ee/rc_kochi

リカバリーカレッジ炭都(福岡県筑豊地域) 2022年開校
https://www.recoverycollegetanto.com/

ディスカバリーカレッジmii (宮城県仙台市) 2023年開校
https://www.facebook.com/people/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%90%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B8mii/61556610832682/

リカバリーカレッジ多摩(東京都多摩市) 2024年開校(プレ講座2023年)
https://plaza-de-en.com/rc.tama/

リカバリーカレッジぐんま(群馬県 高崎市・前橋市・玉村町を中心に) 2024年開校
https://rcgunma.com/

リカバリーカレッジ千葉(千葉県 佐倉・茂原・市原・千葉)2024年開校
https://shimin2023.wixsite.com/chiiki

リカバリーカレッジ ポリフォニー(東京都東久留米市)
生活訓練事業所として2018年に開所。生活訓練事業所のプログラムと以外に誰でも参加できるオープンカレッジを開催
https://rcpolyphony.webnode.jp/

リカバリーカレッジよこはま(神奈川県横浜市) 今後開校予定
https://rc-yokohama.com/

リカバリーカレッジおいでまいさぬき(香川県) 今後開校予定
https://rckagawa.jimdosite.com/

リカバリーカレッジosaka(大阪府 オンライン?)準備中
https://recoverycollegeosaka.amebaownd.com/

リカバリーカレッジHARIMA 準備中
https://note.com/recovery_harima/

リカバリーカレッジ岐阜 準備中
https://olive-trees.work/%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%83%90%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B8%E3%82%92%E5%B2%90%E9%98%9C%E3%81%AB%E4%BD%9C%E3%82%8B%EF%BC%81/

どなたにもご迷惑がかかりませんように。と思いつつ、リカバリーカレッジにご関心のある方達がつながれると良いなと思い、公開されている情報を記載させていただきました。公開せずに近隣の方達と活動されている方達もいらっしゃると思います。みなさま今後ともよろしくお願いいたします。
東京大学コプロダクション&リカバリーカレッジ研究チーム 宮本有紀

共同創造Co-production資料32 利用者や家族とのパートナーシップ

World Psychiatryという学術誌に掲載されていたWPA(世界精神科協会)ニュースの記事です。

Männikkö, M., Cano, G.M., Savage, M., Sunkel, C., Javed, A., Ng, R.M.K. and Amering, M. (2024), Report by the WPA Working Group on Developing Partnerships with Service Users and Family Carers (2020-2023). World Psychiatry, 23: 307-308. https://doi.org/10.1002/wps.21221

“Nothing about us without us!”(私たちのことは私たち抜きで決めるな)は今や当然の流れとなっていると思われ、全てのことをその状態の当事者とパートナーシップで行うことが求められるようになってきていると思います。
そんな中で、心理社会的障害のある人たち(精神健康不調の経験のある人たち)とのパートナーシップでの活動の例(評議会メンバーにその状態の実体験をもつ人たちが必ず入る、など)がこのニュースではいくつも挙げてあります。

World Psychiatryという雑誌では、精神疾患のある人との共同執筆論文の掲載が続いていたり、共同創造に関する論説があったりと、組織をあげて共同創造や患者市民とのパートナーシップによる活動を重視し、推し進めているのだなということをこのところひしひしと感じています。このように影響力のある団体や学術誌がこのように発信していくことの重要性を感じます。
東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀