リカバリーカレッジの文化祭が東京都大田区で開催されました(2024/12/8)

2024年12月8日(日)に、リカバリーカレッジ文化祭が東京都大田区で開催されました。

リカバリーカレッジの文化祭は、全国のリカバリーカレッジで集まってみんなでお互いの講座などに参加したり発表しあったりしましょうよ、ということで2022年に岡山で第1回、2023年は久留米で第2回、2024年2月に名古屋で第3回が開催されていました。
文化祭が開催される前は、2016年ごろ?から、リカバリーカレッジに関する報告会や研修会に全国のリカバリーカレッジの仲間たちが集まったり、リカバリーカレッジのつどいなどを開催してきたのですが、「文化祭」と名付けた催しとなってから、これは楽しい!ということで、各地のカレッジをまわりながら(?)開催をするようになっています。

今回のリカバリーカレッジ文化祭のチラシです。

今回の文化祭の主催団体だった、リカバリーカレッジおおたのメンバーも多数関わっている精神障害当事者会ポルケさんのウェブサイトにも当日の写真が掲載されています。https://porque.tokyo/2024/12/23/rcbunkasai4/

福祉新聞さんが取材にいらしてくださり、掲載してくださいました。https://fukushishimbun.com/hoken/38291

共同創造Co-production資料35 Co-production collective(共同創造に関する組織)

共同創造について調べたい時に、「co-production」という言葉でインターネットを検索するとさくさんの情報がヒットします。(正直なところ、読みたい情報が多すぎて、もうなかなか間に合わないのですが)

今回は
Co-Production Collective https://www.coproductioncollective.co.uk/
という集まり(組織?)についてのメモです。

Co-Production Collectiveという組織は、元は、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London = UCL)という大学のメンバーも設立にかかわっているようです。現在はUCLの、Co-Production and Public Engagement at UCL https://www.ucl.ac.uk/public-engagement/ の一部になっているようです。2017年にできたようで、「医療の研究、革新、実践における共同創造をサポートするセンター」を共同設立しようと集まったとのことで元はUCLコプロダクションセンターという呼び名だったそうです。

この集まりには、なんらかの当事者としての経験がある人、市民、研究者、その他共同創造が実践されている職場で働いている人などが参加しているそうで、自分達に支払われる謝金や方針なども共同創造で決めているとのことです。

資料の掲載 https://www.coproductioncollective.co.uk/championing-co-production/resource-library や、一緒に共同創造しましょう!という募集などさまざまな情報があります。

 

この組織の活動を補佐しているチーム(事務局的な?)や相談に乗ってくれるチーム(さまざまな経験のバックグラウンドのある人々)などについても、写真付きで公開されていて(おそらく載せて良い人だけですが)、そこに人間がいることを感じることができました。また、こういった活動をしていくためにもつながり方や役割がいろいろあることや、誰かがどこかで決めているということではなく、そこに参加している人が見える、ということにも意味がありそうだなと感じました。
日本でもこんなことができたらいいな、しかも、いろいろなところで(誰もがアクセスしやすい各地に)できたらいいな、と思ったりしています。
東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀

 

共同創造とImROCとリカバリーカレッジ関係者の研修会

ImROC(イムロック)という組織がイギリスにあります。

https://www.imroc.org/

リカバリーカレッジのことを知りたいと思い、2015年(もう10年たってしまった、、、)に初めてイギリスのリカバリーカレッジに訪問させていただいたのですが、その際にImROCにも伺わせていただきました。ImROCの関係者の方々がとても熱意をもって共同創造の大切さ、リカバリーカレッジの面白さを話してくださったのが印象的でした。

ImROCの名前は、Implementing Recovery through Organizational Change (組織変革をしてリカバリー実践を)とお聞きして、その名前にも感動したのですが、現在はこのウェブサイト https://www.imroc.org/ を見ても名前の由来などは特に記載していないようです。

このImROCでは、リカバリーに関係する資料を多数公開してくれており、https://www.imroc.org/publications 参考になるものばかりです。

また、ImROCでは、リカバリーカレッジの質を高めるための支援を英国内外へ行っていて、2024年夏にはリカバリーカレッジふくおかの関係の皆様でImROCのコンサルタントを招へいし、リカバリーカレッジを運営する人々のためのワークショップを開催してくださいました。 https://lilyfukuoka.jp/a/451

台風がちょうどやってきて、時間を短縮したりせざるを得ない状況となりましたが、リカバリーカレッジについて各地のカレッジ関係者の皆さんと皆でさらに学ぶことができました。本当にありがとうございました。

(ちなみに、2019年8月にもリカバリーカレッジに関する研修会があり、イギリスから講師にいらしていただいていました。)

このような研修会を開催してくださる皆様、本当にありがとうございます。

共同創造Co-production資料34 精神保健医療研究での共同創造(青年期)

またまた研究の共同創造に関する文献です。World Psychiatryという精神医学領域の学術誌にここ数年、その疾患状況を経験した人(患者としての体験のある人)と学術関係者(研究者)によって執筆された論文が連続で掲載されています。

Fusar-Poli P, Estradé A, Esposito CM, Rosfort R, Basadonne I, Mancini M, Stanghellini G, Otaiku J, Olanrele O, Allen L, Lamba M, Alaso C, Ieri J, Atieno M, Oluoch Y, Ireri P, Tembo E, Phiri IZ, Nkhoma D, Sichone N, Siadibbi C, Sundi PRIO, Ntokozo N, Fusar-Poli L, Floris V, Mensi MM, Borgatti R, Damiani S, Provenzani U, Brondino N, Bonoldi I, Radua J, Cooper K, Shin JI, Cortese S, Danese A, Bendall S, Arango C, Correll CU, Maj M. The lived experience of mental disorders in adolescents: a bottom-up review co-designed, co-conducted and co-written by experts by experience and academics. World Psychiatry. 2024 Jun;23(2):191-208. doi: 10.1002/wps.21189. PMID: 38727047; PMCID: PMC11083893. https://doi.org/10.1002/wps.21189

(青少年における精神障害の体験:経験による専門家と学者の共同デザイン、共同実施、共同執筆によるボトムアップレビュー)

この研究は、自身の経験による専門家(experts by experience)(患者、その家族やケアする人)と学者からなる共同チームを立ち上げ研究を実施したとのことです。以前も同じ研究者の参加しているチームの論文(うつ、サイコーシス)をご紹介しました。このチームでたくさんの文献検討研究をしたということですね。)

この研究は、「青年期の精神障害の内的主観的体験」、「より広い社会での青年期精神障害者の体験」、「精神医療を受ける青年期精神障害者の体験」についてワークショップを開催し、全体として18人の当事者経験のある若者に参加してもらい、分析が行われたとのことです。

「青年期の精神障害の内的主観的体験」としては、気分障害では、アイデンティティの変化を経験する、圧倒されるような激しい感情の経験、自分の心の中に閉じ込められた感じ、周囲の世界が消えていくのを見る、精神病性障害では、生活世界と自己における広範な変化の経験、自ら出てしまった魚のように感じる、といった感じで、ADHD、自閉症スペクトラム障害、不安障害、摂食障害、外在化障害、自傷それぞれについて、当事者の声が掲載されている質的研究からの引用と、ワークショップに参加した当事者経験のある若者の声が掲載されています。

 

この論文を読んでいて、これまでの質的研究からの引用と、ワークショップに参加した若者の実体験から出ている言葉により、本人の体験が鮮やかに感じられた気がします。医学や看護学の教科書や疾患の理解は、本人以外の人からの視点で説明され、外側から見る視点が多いのですが、もっと知りたいのは本人にはどのような経験がされているか、だな、と改めて感じました。特に精神科領域では、本人にとっての個別のリカバリー、ご本人が生きやすくなることが何より重要なわけで、ご本人からの視点を知ること、そしてそれは皆違うということを知ることが重要だと感じました。
東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀

共同創造Co-production資料33 精神科ケアでの患者参画

共同創造についてお話をさせていただく機会が時折あります。そのようなときに、「共同創造」はどんな場面で?と自分なりの整理に役立った、Tambuyzerさんというベルギーの方の論文がありまして、2011年の論文ですが、自分のメモのためにもこちらに紹介させていただきます。

ここでは、共同創造ではなく、patient involvement (患者参画)がテーマなのですが、共同創造と患者参画は重なりがある考え方ですので、共同創造の資料としても意義があると思っています。

(共同創造や、患者市民参画の考え方は、この10年でどんどん広まり発展している(と私は感じている)ので、もっとわかりやすい整理などもあるのかもしれないとは思いますが。)

Tambuyzer E, Pieters G, Van Audenhove C. Patient involvement in mental health care: one size does not fit all. Health Expect. 2014 Feb;17(1):138-50. doi: 10.1111/j.1369-7625.2011.00743.x. Epub 2011 Nov 10. PMID: 22070468; PMCID: PMC5060706. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5060706/

著者らは、患者参加・患者参画・患者の関与(どれも同じ意味で使っていますのでこの先は患者参加という用語を用います)の考え方があいまいなので、患者参加について記載されている文献を分析し、患者参加について包括的に述べる、という研究です。

著者らは、患者参加を高めたり妨げたりするものとして
(i)患者に対するコミュニケーションと情報提供
(ii)患者参加に対する医療従事者の態度
(iii)患者参加に利用できる財源と時間
(iv)患者参加に関するすべての関係者の教育と支援
(v)患者参加のための手続きの利用可能性
(vi)患者参加のための法的枠組みの存在
を挙げています。

また、患者参加が起きることによる短期的な成果としては
患者のエンパワメント、患者のリカバリー、患者の満足度、医療へのアクセスのしやすさ、医療の質の高さ、健康度の向上
を挙げていました。

さらに、著者らは、患者参加の場面を整理し、
第一に、個人レベル・ミクロレベル(例えば、その人自身のケアプラン、セラピストの選択、治療の選択に関する決定への参加)
第二に、医療サービスレベル・中間レベル(例として、医療機関の顧問委員会への参加など)
第三に、政策レベル・マクロレベル(精神科医療政策を共同で決定など)
そして、研究と教育を含むメタレベルを提案する
と述べていました。

著者らは、患者参加の整理がなされておらず、たとえば参加のはしごなどは患者の意思決定の度合いという一側面だけを用いているが、もっと包括的に考える必要がある。しかし、患者参加は、関わる人や状況によって異なるので、画一的なものではない、と結論付けていました。

 

この研究では、医療の受け手を便宜上「患者」と呼ぶが、受動的な存在とみなしているわけではない、と用語の説明のところで述べていたり、論文要旨の冒頭で、精神科医療への患者参加は倫理的に求められるものである、と述べていたり、私にとっては、重要だと思われることが記載されているなと感じた文献でした。また、患者参加の場面分けが私にとってはとてもイメージがしやすくなり、自分の考えの整理や、共同創造の場面の説明にもよく使わせていただいています。
東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀

日本のリカバリーカレッジ(2024年8月時点)

共同創造の実践例としていつもご紹介させていただくリカバリーカレッジ。
日本でリカバリーカレッジの理念(共同創造で運営されていて、誰でも参加できる、学びの場)に基づいて活動しているとお聞きしているカレッジの一覧を作りたいと思いつつ、全部を網羅はできていないのでかえってご迷惑をおかけしちゃうかな、と思い掲載を迷っておりましたが、以前掲載した、2022年10月時点のリストも参考になった、と言っていただいたこと、また、その後もオープンしているとお聞きしているので、私の知っている範囲で、公開されているウェブサイトやフェイスブックページなどのリンクと共にあげさせていただきます。(2024年8月)

    • ここに載っていないリカバリーカレッジもあると思います。リカバリーカレッジの認定機関があるわけではありません。
    • リカバリーカレッジと名乗っていなくても、共同創造によって運営されていて、誰でも参加できる学び合いの場の実践をされているところもたくさんあります。
    • 現在活動をお休みしているところもあるようです。(2022年10月のリストに挙げていたカレッジで2024年8月時点では開講されていなくても、閉校したとお聞きしたわけではない場合には、掲載させていただいております)
    • カレッジによって、第一回講座をしました、とか、オープン、など表現が異なるのを宮本が勝手に「開校」と表現してしまっております。便宜上、講座の開催を「開校」とさせていただきましたが、どのカレッジも準備などの活動をもっと前からされています。
    • ここで掲載しているリカバリーカレッジは医療・福祉ではないものを挙げております。デイケアや福祉サービスの中で「リカバリーカレッジ講座」をされている組織もたくさんあるのですが障害のある人だけが対象となってしまうものはここには掲載しておりません。
    • どのカレッジの方ともご連絡が取れるのですが、今回は、個別の問い合わせなどはせず、あくまでも公開情報からわかることだけ掲載させていただきました。
    • 準備中のカレッジは、リカバリーカレッジの活動として公開されている情報やウェブページ等がある場合に記載させていただきました。
    • 情報は、宮本調べで、間違いもあるかもしれません。間違いなどに気づかれましたらぜひ教えてください。

リカバリーカレッジ (東京都三鷹市) 2013年開校
https://sudachikai.eco.to/pia/index.html

リカバリーカレッジたちかわ (東京都立川市) 2015年開校
http://recoverycollege.jp/tachikawa/

リカバリーカレッジ名古屋 (愛知県名古屋市) 2018年開校
https://recoverycollege-nagoya.com/

リカバリーカレッジみまさか (岡山県美作市) 2019年開校
https://www.facebook.com/recovery.college.mimasaka/

リカバリーカレッジOKAYAMA (岡山県岡山市) 2019年開校
https://rcokayama.jp/

リカバリーカレッジSAGA (佐賀県佐賀市) 2019年開校
https://m.facebook.com/profile.php?id=100068255426060

リカバリーカレッジあんなか (群馬県安中市) 2019年開校
https://www.facebook.com/recoverycollege.annaka/

リカバリーカレッジおおた (東京都大田区) 2020年開校
https://sites.google.com/edu.teu.ac.jp/recoveryota

リカバリーカレッジねやがわ (大阪府寝屋川市) 2021年開校
https://rcneyagawa.blog.fc2.com/
(新しいページがあるのか?わからず)

リカバリーカレッジふくおか (福岡県福岡市) 2021年開校
https://lilyfukuoka.jp/ac/rcf

リカバリーカレッジKOBE (兵庫県神戸市) 2022年開校
https://rcchauchaukobe.jimdofree.com/

リカバリーカレッジ高知 (高知県高知市) 2022年開校
https://linktr.ee/rc_kochi

リカバリーカレッジ炭都(福岡県筑豊地域) 2022年開校
https://www.recoverycollegetanto.com/

ディスカバリーカレッジmii (宮城県仙台市) 2023年開校
https://www.facebook.com/people/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%90%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B8mii/61556610832682/

リカバリーカレッジ多摩(東京都多摩市) 2024年開校(プレ講座2023年)
https://plaza-de-en.com/rc.tama/

リカバリーカレッジぐんま(群馬県 高崎市・前橋市・玉村町を中心に) 2024年開校
https://rcgunma.com/

リカバリーカレッジ千葉(千葉県 佐倉・茂原・市原・千葉)2024年開校
https://shimin2023.wixsite.com/chiiki

リカバリーカレッジ ポリフォニー(東京都東久留米市)
生活訓練事業所として2018年に開所。生活訓練事業所のプログラムと以外に誰でも参加できるオープンカレッジを開催
https://rcpolyphony.webnode.jp/

リカバリーカレッジよこはま(神奈川県横浜市) 今後開校予定
https://rc-yokohama.com/

リカバリーカレッジおいでまいさぬき(香川県) 今後開校予定
https://rckagawa.jimdosite.com/

リカバリーカレッジosaka(大阪府 オンライン?)準備中
https://recoverycollegeosaka.amebaownd.com/

リカバリーカレッジHARIMA 準備中
https://note.com/recovery_harima/

リカバリーカレッジ岐阜 準備中
https://olive-trees.work/%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%83%90%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B8%E3%82%92%E5%B2%90%E9%98%9C%E3%81%AB%E4%BD%9C%E3%82%8B%EF%BC%81/

どなたにもご迷惑がかかりませんように。と思いつつ、リカバリーカレッジにご関心のある方達がつながれると良いなと思い、公開されている情報を記載させていただきました。公開せずに近隣の方達と活動されている方達もいらっしゃると思います。みなさま今後ともよろしくお願いいたします。
東京大学コプロダクション&リカバリーカレッジ研究チーム 宮本有紀

共同創造Co-production資料32 利用者や家族とのパートナーシップ

World Psychiatryという学術誌に掲載されていたWPA(世界精神科協会)ニュースの記事です。

Männikkö, M., Cano, G.M., Savage, M., Sunkel, C., Javed, A., Ng, R.M.K. and Amering, M. (2024), Report by the WPA Working Group on Developing Partnerships with Service Users and Family Carers (2020-2023). World Psychiatry, 23: 307-308. https://doi.org/10.1002/wps.21221

“Nothing about us without us!”(私たちのことは私たち抜きで決めるな)は今や当然の流れとなっていると思われ、全てのことをその状態の当事者とパートナーシップで行うことが求められるようになってきていると思います。
そんな中で、心理社会的障害のある人たち(精神健康不調の経験のある人たち)とのパートナーシップでの活動の例(評議会メンバーにその状態の実体験をもつ人たちが必ず入る、など)がこのニュースではいくつも挙げてあります。

World Psychiatryという雑誌では、精神疾患のある人との共同執筆論文の掲載が続いていたり、共同創造に関する論説があったりと、組織をあげて共同創造や患者市民とのパートナーシップによる活動を重視し、推し進めているのだなということをこのところひしひしと感じています。このように影響力のある団体や学術誌がこのように発信していくことの重要性を感じます。
東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀

リカバリーカレッジでの「学び」「教育」

リカバリーカレッジでの学びについて。
英国のリカバリーカレッジの説明では
Educational Approachという言葉が必ず出てきます。
これを日本語に訳すときに、教育的アプローチ、とか、教育学的アプローチと訳してきたのですが、
そして実際に、教育学的な考え方に基づくアプローチであることは確かだと思うのですが、
日本で「教育」と言ったときに出てくるイメージが、どうしても学校を連想させてしまい、
リカバリーカレッジで目指しているのは、いわゆる日本の学校ではないような気がする、、と仲間とよく話しています。
そのようなこともあり、日本語にするときに「学び」と言い換えたりしているのですが、これも厳密には違うのだろうなと思っています。

そして、英国のリカバリーカレッジ関係者の方たちが、リカバリーカレッジでの教育について語るときに出てくるのが
アンドラゴジー(成人学習理論)、成人学習、パウロ・フレイレです。
ここで説明できるど私自身は詳しくないのですが、これらはリカバリーカレッジの実践に関わるのであれば知っておくとよいことなのだろうなとは感じます。

パウロ・フレイレの「被抑圧者の教育学」や、アンドラゴジー、成人学習については、リカバリーカレッジについて知って学んだことでした。
成人学習について、日本のリカバリーカレッジの講座で扱ったり、あるいはリカバリーカレッジ関係者の勉強会などをやったりするのも良いのかもしれないなと思いました。
つぶやきでした。
東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀

共同創造はいろいろな領域で

保健医療福祉の領域での共同創造のことばかり見てしまいますが、Co-production 共同創造はほかの領域でも実践されているようです。
持続可能性(サステナビリティ)の領域でも行われているようで、たとえば
Nature Sustainabilityという学術誌でも、
Chambers, J.M., Wyborn, C., Ryan, M.E. et al. Six modes of co-production for sustainability. Nat Sustain 4, 983–996 (2021). https://doi.org/10.1038/s41893-021-00755-x
サステナビリティのための共同創造の6つのモードという研究が2021年に発表されていました。

保健医療の領域でも共同創造は多様だと言われていますが、
持続可能性の課題に取り組むための共同創造も、多様であるようで、以下の6つのモードが挙げられています。
(1) researching solutions 解決策の研究
(2) empowering voices 声(コミュニティ)を力づける
(3) brokering power 権力の仲介
(4) reframing power 力の再定義
(5) navigating differences 違いの調整
(6) reframing agency 役割の再定義
それぞれに課題もあり、どれが最適と言えるわけではない、とのことです。
それぞれのモードで、共同創造の目的や、関与する人々が異なるようです。

正直なところ、自分自身があまり理解できたとは思えず、資料の紹介というところまで到達できない書き込みでした。。

保健医療との共通点や相違点がわかるといいなと思ったのですが、言葉が違うのか、文脈が違うのか、私には理解が難しかったです。保健医療領域の資料を読んでいても感じるのですが、共同創造のことを表現している文章は、時に抽象的だったり、その文脈を理解できないと想像ができなかったりして、なかなか難しいことがあると感じています。私の場合は、自分の活動と近い領域である精神保健医療に関しての共同創造が一番イメージがわきやすいように思いました。
東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀

共同創造Co-production資料31 コ・プロダクションの理論と実践―参加型福祉・医療の可能性

共同創造について、斉藤弥生先生の
コ・プロダクションの理論と実践―参加型福祉・医療の可能性」2023年、大阪大学出版会 https://www.osaka-up.or.jp/book.php?isbn=978-4-87259-766-0
を拝読し、共同創造とうたっていなくても、日本でもこんなに多くの実践がなされていたのだなと気づきました。
保健医療領域で市民と共に作り上げ提供されている活動として以前から取り組まれてきたことに、医療協同組合等での実践があります。
この書籍では、斉藤先生とスウェーデンのVictor Pestoffらとの取り組みや、さまざまな協同組合での実践が紹介されており、とても興味深く、さまざまな組織やその在り方に関心がわきました。

それと同時に、以前からあった協同組合と共同創造が全く同じなのか、ほかにはどのような呼び名(?)のありかたがあるのか、など、考えたいことがたくさんあります。

共同創造というと、つい英国の情報や、オーストラリアなどの情報が目にはいってしまいますが、共同創造という言葉が使われる前から日本で以前から行われている実践や、北欧での住民参加実践などについてもっと知りたいと思わされました。
東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀