共同創造 Co-production つぶやき 場の安全性

共同創造が行われていくためには、その場にいても安全だ、その場で自分の意見や考えを言っても安全だ、という感覚を参加者が持てる(あるいは、安全とまでは感じないまでも、この場にいたら危険とは思わない)ことは重要だと感じています。

自分の安全以外にも、他者の安全が確保されるのか(他者を傷つけてしまうことはないか)という恐れも共同創造の実践に影響をしそうに感じています。本当に思っていることを言ってしまったら誰かを傷つけてしまうのではないかという恐れや、自分が言ったことで誰かを傷つけてしまったのではないかと思ったら、意見や考えを言うことを控えてしまうことも起こり得ます。

少し話しは変わるのですが、以前、哲学対話について記事(資料15)に書いたのですが、また別の哲学対話についての記事で、多様な意見の尊重をすることを大事にしているので、偏りに基づいた考えも発されることもあり、しかしその意見や考えが誰かに対する暴力ともなり得る、しかし、自由な対話、その自由さや鋭さが、社会を問い直すことにつながるので、『「鋭さ」と「場の安全性」の両立が課題』であるとありました(東洋経済education×ICT education特集 「哲学対話の授業」確かな手応えと悩ましい課題 2021/07/20)。

哲学対話と共同創造とでは文脈は異なるものの、多様な意見を尊重するという理念は共通だと思います。場の安全性を保ちながら意見が出し合われる場としていくことについて、今後も哲学対話や、その他のさまざまな取り組みも参考にしつつ考えていけるとよいのだろうなと感じました。

共同創造において、その場に安全を感じられるようになったり、いろんな試行錯誤を重ね、後悔や反省をしつつも、それでも続けてみようと思うためには、人間としてお互いを知り合う機会や時間があることが後押しになるのかな、と感じています。(宮本のひとりごとでした。)

Co-production 勝手にリカバリーカレッジの応援

共同創造によって学びの場を創り出すリカバリーカレッジが大好きで、勝手に各地のリカバリーカレッジを応援しております。
秋学期のスタートのお知らせをちらほらとお聞きしているので、リカバリーカレッジの講座を受講したい方や知りたい方達に情報が届くようにとここでも公開情報をご紹介させていただきます。
(ご紹介は順不同です。私=宮本が把握したリカバリーカレッジの情報のみ、かつ、公開されている情報のみ、2021/9/3の時点での情報をご紹介しております。受講料の有無はカレッジによって異なるのでご自身でご確認ください。)

リカバリーカレッジ(東京都三鷹市) https://sudachikai.eco.to/pia/course.html こちらのページに、2021年度秋学期講座の講座や申し込みの方法が書いてあるPDFに飛べるリンクがあります。ここにある資料によると、秋学期の受講期間は2021年9月29日~12月22日で、2021年度秋学期は、オンラインと対面の講座があるようです。申し込みは左側に「お申し込み」の欄がありますのでそちらから~

リカバリーカレッジたちかわ (東京都立川市) http://recoverycollege.jp/tachikawa/2021-22autumn/ 秋期講座は2021年9月~11月で、オンラインZOOM開催で、9月4日が始業式とあります! 

リカバリーカレッジふくおか(福岡県福岡市) https://www.rcfukuoka.com/  秋学期は9月下旬~12月のようで、応募期間は2021年8月22日~9月20日とありました!

リカバリーカレッジおおた(東京都大田区) https://www.ota-shakyo.jp/news/05/05/event-20210831161715 は9/14にオンライン講座があります。

COVID-19の感染拡大が落ち着かず、開催について検討継続中のカレッジの話もお聞きしています。早く状況が落ち着くと良いですよね。。

共同創造資料Co-production 資料17: 精神保健サービスの提供における共同創造 Working Well Together

共同創造(コプロダクション)資料のご紹介です。

National Collaborating Centre for Mental Health. Working Well Together: Evidence and Tools to Enable Co-production in Mental Health Commissioning. London: National Collaborating Centre for Mental Health; 2019.

working well together

精神保健サービスの提供において共同創造を可能にするための根拠やツールが掲載されています。内容の紹介(英語)はこちら↓

https://www.rcpsych.ac.uk/improving-care/nccmh/other-programmes/coproduction

この資料(PDFファイル)への直接リンクはこちら↓です。

https://www.rcpsych.ac.uk/docs/default-source/improving-care/nccmh/working-well-together/working-well-together—evidence-and-tools-to-enable-co-production-in-mental-health-commissioning.pdf?sfvrsn=4e2924c1_2

  • 英国のNHS England (イングランドの国民健康サービス)では、精神保健サービスの提供も共同創造で行うよう提言しているわけですが(詳しくは*を)、この冊子(52ページ)では、精神保健サービスの提供において共同創造に取り組んでいる方々からのフィードバックから困難や障壁を紹介したり、共同創造の実践の現状や共同創造をする際に検討する点などが掲載されています。
  • mental health commissioningというのを精神保健サービスの提供、と訳してしまいましたが、医療や保健福祉サービスの制度が英国と日本とで同じではないので、このあたりのニュアンスを私自身もっと知りたいなと思っています。また、日本の精神保健福祉の中での実践に使えるようなまとめを作ったりしていきたいなと感じました。

    東京大学 コプロダクション研究チーム 宮本有紀

*宮本有紀, 小川亮. コ・プロダクション(共同創造)は英国の精神保健医療福祉施策にどのように位置づけられているか. 精神保健福祉ジャーナル 響き合う街で. 2019(87):11-6.

共同創造資料Co-production 資料16: 研究における共同創造

日本精神障害者リハビリテーション学会の発行している雑誌「精神障害とリハビリテーション」で、研究における共同創造や患者市民参画に関する特集が組まれました。

精神障害とリハビリテーション Vol.25 No.1 特集 研究における当事者参加 (出版年月日:2021/07/14) https://www.kongoshuppan.co.jp/smp/book/b587839.html

精神障害とリハビリテーション Vol.25 No.1 特集 研究における当事者参加

コプロダクション研究チームの小川亮や宮本有紀もいくつかの記事に参加させていただいております~。

なお、医療やサービスの共同創造も、研究の共同創造も、どちらも、効率重視でやってしまうとせっかくの共同創造が活かせないという思いと、しかしながら進めていくにはどこかで決めて動いていかないとせっかく共同創造で良いものを生み出しているのにそれを周囲に届けられないといった面があるように思っており、どうすると良いのかなぁ、と個人的には思っています。そして、あれもやりたい、これもやりたい、こんな風にしたい、と自分はとても欲張りで、でもどれもちゃんと取り組める時間をかけられていなくて結局どれも中途半端になってしまって、、、という感じになってしまっている自分を感じています。宮本の独り言でした。

共同創造 Co-production 資料15: 哲学対話

共同創造をしていくにあたって、どんな風に対話の場を作れるかということは、とても大きいテーマだと感じています。そんな中、ここ数年(私にとって)耳にする機会が増えた、哲学対話の考え方が、共同創造でしようとしていることと通じている部分が多いように感じています。

NHKの解説アーカイブスに出ている解説「『考える力』を育てる『哲学対話』」(視点・論点) 2020年03月31日 (火) (東京大学 教授 梶谷 真司)がわかりやすかったです!

それによると、哲学対話は、哲学の思想を教えるのではなく、思考力を育てるものであり、「対話」がその主な方法として開発されたとあります。そして哲学対話は輪になって行う、「輪になる」ことには意味があり、円となることで前も後ろもなくお互いに対等で誰でも発言していい場となる、とあります。そして、話し合うテーマは自分たちで決める、人から与えられたのではなく、自分たちで探し、決めた問いだからこそ、自ら考えることができる、とあります。また、対話のルールはその実践者によって異なるが、この解説をしている梶谷真司さんのルール

1.何を言ってもいい
2.人の言うことに対して否定的な態度をとらない。
3.お互いに問いかけるようにする。
4.発言せずただ聞いているだけでもいい。
5.知識ではなく自分の経験にそくして話す。
6.意見が変わってもいい。
7.話がまとまらなくてもいい。
8.わからなくなってもいい。

NHK解説アーカイブス 「『考える力』を育てる『哲学対話』」(視点・論点) 2020年03月31日 (火)  東京大学 教授 梶谷 真司 より引用)

が紹介されていました。

この解説では、”自由に発言し、相互に問いかけることで、互いを尊重し、違いを受け止められるようになります。”、”理解できない相手ですら、考えるきっかけを与えてくれる存在として受け入れられます”ということや、結論を急がないこと、安心して意見を言える人間関係、何でも話せる場を作ることについて書かれています。

研究チームの自由な感想:
それぞれの違いを尊重しつつ、それぞれの意見や考えが出されることが、共同創造では必要なので、この哲学対話の考え方もとても大きなヒントとなりそう。

共同創造 Co-productionつぶやき

医療保健領域での共同創造を考えるにあたって、病や障害、あるいは困難を生きる人たちの知や、その共有のされ方についてと、その人たちと専門職者・支援者との関係のあり方に意識を向けることは不可欠だと思っています。たとえばセルフヘルプグループや当事者会、これまでの医療保健領域での支援するされるの関係、社会の中で患者や障害者がどのような対応をされてきたかについても、共同創造を考える上で重要なテーマだと感じます。

2021年2月にあった東京大学の国語の入試問題で、松嶋健「ケアと共同性――個人主義を超えて」の文章が使われていました。共同創造について扱っているわけではないのですが、自助グループやケアについて述べている文章です。

この文章では、田辺繁治の調査したタイのHIV感染者とエイズを発症した患者による自助グループを例に出して

”医学や疫学の知識とは異なる独自の知や実践を生み出していく”

ことや、そこに

”非感染者も参加するようになり、ケアをするものとされるものという一元的な関係とも家族とも異なったかたちでの、ケアをとおした親密性にもとづく「ケアのコミュニティ」が形作られていった”

といった内容と、糖尿病の外来でのフィールドワークからアネマリ-・モルが

”糖尿病をもつ人びとと医師や看護師の共同実践に見られる論理”

の特徴から取り出した「ケアの倫理」について考察し、

”ケアとは、「ケアをする人」と「ケアをされる人」の二者間での行為なのではなく、家族、関係のある人びと、同じ病気をもつ人、薬、食べ物、道具、機会、場所、環境などのすべてから成る共同的で協働的な作業なのである。”

といったことが書かれていました。

理系・文系のどちらの受験生も真剣に読んで考える入試問題の中にこういった内容が含まれていたことに、なんだかうれしくなったのでした。

なお、松嶋健. ケアと共同性――個人主義を超えて. は、松村恵一郎・中川理・石井美保編「文化人類学の思考法」世界思想社. 2019 に全文があります。

共同創造 Co-production 資料14: BMJ記事

BMJという学術誌があるのですが、そこで、研究の共同創造についての特集がありました。https://www.bmj.com/co-producing-knowledge
研究の雑誌なので、主に研究での共同創造に関する記事です。

そのEditorial(論説とでもいうのでしょうか)の記事↓
Co-production of knowledge: the future. BMJ 2021;372:n434  doi: https://doi.org/10.1136/bmj.n434 (Published 16 February 2021)
で、「共同創造は、研究の質と妥当性を高め、その影響は政策や実践にも及ぶ。」と記載されています。
主に研究に関連する共同創造についてのべられている記事ではありますが、ここでいくつかあげられているものを意訳してご紹介します。

1.共同創造は状況依存的であり、状況や場、文化、国によって、何がうまくいくかは異なる。
2.そこに参加している異なる専門性(や知恵)を持っている人達に対する信頼と、力(パワー)の共有、敬意が共同創造には必要である。
3.共同創造をするにあたって必要となることに対する関心が高まっている。
4.共同創造による研究を行っていくには、これまでとは異なる研究費の助成の仕方などが必要であろう。

この、3の、共同創造にあたって必要となることについて、私たちも関心があるわけですが、いろいろな人達も関心があるんだなということを改めて感じたのでした。
東京大学 コプロダクション研究チーム 宮本有紀

共同創造 Co-production 資料13: 健康と病の語りDIPEx

医療政策・医療行政に患者視点の導入が重要であるという考えでの取り組みということで、コプロダクションとも関係すると思い、「健康と病の語りデータベース」のご紹介です。

「体験した人にしか語れないことがある」
健康と病の語りデータベース
Database of Individual Patient Experiences: DIPEx
というものがあります。

DIPEx自体は、もともとイギリスからはじまっているようですが
元は、2001年にDIPEx Charity↓
https://dipexcharity.org/ がはじめた https://healthtalk.org/

ディペックス・ジャパン DIPEx Japan
https://www.dipex-j.org/
にもたくさんの語りが公開されています。

ディペックス・ジャパンは

  • 「患者さんやご家族へ」情報や知恵と勇気、心の支えを提供する
  • 「友人・職場の人など周囲の人々へ」病を患うことについてわかりやすく提示して患者さんの社会生活の質の向上
  • 「医療系学生や医療者の教育に」活用する
  • 「患者体験学の確立」:医療政策・医療行政には患者視点の導入が重要であるとの思いから、「患者体験学」の体系を整え、患者の声を確かな学術的研究に結びつけていく

ことを目指しているとのことです。

語りデータベースの目的

また、ディペックス・ジャパンでは、1つの疾患につき必ず複数の体験(語り)が集められているそうです。

語りデータベースの特徴


研究チームの印象に残ったこと・自由な感想

  • 患者さんの声が重要だと思っても、患者さん達に協力を依頼したりコンタクトしたりにたどり着けない人達も多そう(特に医療の教育現場など。)。患者さんの声を紹介する等の時にもこういったデータベースは重要。
  • 医療に関わる何かを作り出すときに、その計画段階から患者の立場の人達に入ってもらうのは重要かつ不可欠だけれど、参加してくれている人達が全患者さんや全ての状況を代表しているわけではないから、このようにたくさんの語りに接することができるデータベースは貴重。
  • 複数の語りが公開されていることはすごい。また、項目で整理されていたり、一つ一つの語りは短めで見やすくて、テキストでも読めてすごい。

共同創造 Co-production 資料12: 製薬領域での患者参画

Co-productionと重なりの大きい考え方に患者参画あるいは患者市民参画があると思います。
(Co-productionと患者市民参画の考え方の関係については、またいつかメモを残しておきたいと思いつつ)

そして、製薬の領域でも、「患者の声を活かす」ということを大事に考えているようです。
日本製薬工業協会(製薬協)JPMAさんでは、患者中心(Patient Centricity)という言葉を使い、患者の声を活かした医薬品開発に向かっていくための報告書などを公開されています。

「患者の声を活かした医薬品開発 -製薬企業によるPatient Centricity-」
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/tiken/allotment/patient_centricity.html

「製薬企業が Patient Centricity に基づく 活動を実施するためのガイドブック」
「製薬企業が患者団体と Patient Centricity に基づく活動を推進するための コミュニケーションガイドブック」
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/tiken/allotment/patient_centricity2.html


研究チームの思ったこと・自由な感想

  • 薬を使うのは患者さんなので、患者さんの声を聞くのは本当に重要だと思う。
  • Patient Centricity(患者中心)自体は、Co-productionをしなかったとしても、達成しうると思うが、いろいろな領域で患者さんの声を活かす、ということへ向かっていっているのだなと感じた。

共同創造 Co-production 資料11: SCIE「社会福祉領域でのコプロダクション:コプロダクションとは何か、どのようにするか」平易版

共同創造(コプロダクション)資料のご紹介です。

資料に平易版(Easy Read)があるときは、それが一番私にとってはわかりやすく、とても気に入っている資料の一つとして、
Social Care Institute for Excellence (SCIE) による
「社会福祉領域でのコプロダクション:コプロダクションとは何か、どのようにするか」平易版Co-production in social care: What it isand how to do it (Easy read summary)
(アクセス:2020年12月5日)
をご紹介します。

共同創造(コプロダクション)についての説明をいくつか抜き出します:
共同創造(コプロダクション)とは、サービス提供者側とサービスを利用する人やその介護者がともに取り組むことを意味します。(p.1)

共同創造(コプロダクション)の基本の意味は、何かをするために共に取り組む、ということです。異なる視点や考えをもった人たちが、誰にとっても良いものとなるよう集まってとりくむことです。(p.3)

共同創造(コプロダクション)は、サービスを利用する人、介護者、そしてサービスを運用する人たちが対等な立場で集まります。対等とは、他の人よりも大事な人というのがいるわけではない(誰もが同じように大事な人である)ことを意味します。(p.4)

共同創造(コプロダクション)で大切なこと

  • サービス利用者、介護者、サービス提供者が皆で同じことのために一緒に取り組む
  • サービス利用者と介護者がもつ力(パワー)と統制権(コントロール)が増す
  • サービス利用者と介護者は、サービス側のすること全ての一員となる
  • サービス利用者と介護者は、その知識とそのできることがある、価値ある存在であることをサービス側は理解する
  • サービス側のためにしたことに対して何かを得る-謝礼を支払われたり、何かを無料でできたり、新しいことを学んだり
  • サービスがどのように行われるかについて、管理者よりも、サービス利用者や介護者と接して働くスタッフの発言力が増す

共同創造(コプロダクション)の原則

  1. 対等性(Equality)
    誰もが持ち寄るものがあり、誰かだけがとりわけ大切ということはない(皆が同じように大切)
  2. 多様性(Diversity)
    コプロダクションにおいて皆が参加できているように
  3. アクセス(Access)
    コプロダクションへの参加が、誰かにとっては難しいようなことはあってはならない
  4. 相互性(Reciprocity)
    コプロダクションに取り組むことにより皆がそれぞれ何かを得る。お金のこともあれば何かを無料でできるとか。友達ができる、誰かの役に立つことで気持ちが良いなども

などが大きな字で、絵と共に記されていました。

平易な言葉にすることで、表現しきれないことも出てきてしまうのだろうとは思いますが、より多くの人がその意味をつかむことができる、アクセスできるということはとても重要なことだと思いました。

東京大学 コプロダクション研究チーム 宮本有紀
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