共同創造に関連すること アクセシブルミーティング

アクセシブルデザイン(共用品)という考え方があります。
詳しくは共用品推進機構のサイト https://www.kyoyohin.org/ja/kyoyohin/faq.php にあります。
共用品・共用サービスとは、「身体的な特性や障害にかかわりなく、より多くの人々が共に利用しやすい製品・施設・サービス」のことだそうです。

この中に、みんなの会議(アクセシブルミーティング)という考え方が記載されていました。
「会議に、今まで参加しづらかった人たちが参加できるようになれば、これまで以上に活発な議論が交わされ、新しい発想からのアイディアも出るのではないでしょうか。

けれども、みんなが参加でき、みんなが考えられる会議を行うためには、ちょっとした配慮や工夫が必要になってきます。」

ということで、「アクセシブルデザインの標準化・国内標準化」https://www.kyoyohin.org/ja/research/japan/index.php
障害のあるなし、年齢の高低に関わらず、より多くの人が参加できる、アクセシブルミーティングという視点で工夫の記載された小冊子
みんなの会議(アクセシブルミーティング小冊子)[PDFファイル/WEB閲覧向け]
アクセシブルミーティング実施に向けての配慮事項検索できるサイト https://www.kyoyohin.org/06_accessible/060101_jiss0042.php
が掲載されていました。

また、アメリカ政府には、Create Accessible Meetings https://www.section508.gov/create/accessible-meetings/
というサイトもありました。

共同創造も、さまざまな立場、視点の方が対等に参加するためには、その会合はみんなが参加できるものでなければならず、このアクセシブルミーティングの考え方や、アクセシブルデザインを用いることは不可欠なことだと感じました。
アクセシブルミーティングという言葉を私自身はこれまで知りませんでした。おそらくこの言葉を使っていなくても、このような取り組みはされていたと思いますが、このような考え方を指す言葉が共有されることで、そこに意識を向けやすくなり、広がりやすくなるだろうなと思いました。こういったいろいろな考え方やその言葉をどんどん知りたいです。

東京大学 コプロダクション研究チーム 宮本有紀

共同創造 Co-production 資料05: 具体的なガイドラインの例「Meeting Guidelines」

共同創造 Co-production は、なんらかの実践を考えたり作り上げる場面でなされるものだと思います。
そして、たとえば研究を共同創造していく際のガイダンスを以前ご紹介しました。(共同創造は、何かを一緒に作り上げるときに、共同創造によってよりよいものになる、というものだと思うので、作り上げるものが何であっても良いのだと思います。)

今回ご紹介するのは、Trauma Informed Oregonという、米国オレゴン州の組織で、トラウマの影響を念頭に置いたケア、あるいはトラウマに配慮したケア(トラウマインフォームドケア)を作り上げていくために、大学、公的機関、民間機関、さまざまな経験をしてきた方々や家族で協力し合う組織が、望ましいケア(トラウマに配慮したケア)を考えていくワーキンググループのあり方について、ウェブサイトで公開している資料です。

Trauma Informed Care Workgroup Meeting Guidelines」(トラウマに配慮したケアを作り上げていくためのワーキンググループのためのガイドライン)
2016年のガイドライン資料.PDF (アクセス:2020年6月8日)
には、コプロダクションという言葉は一言も出てこないのですが、でも、ここで言われていることは、まさに共同創造をするにあたって必要なことなのではないかと思い、自分のメモも兼ねてここに載せておく次第です。

Trauma Informed Oregon
Trauma Informed Care Workgroup Meeting Guidelines
2016年のガイドライン資料.PDF

意訳:

トラウマの影響に配慮したケアについて考えるワーキンググループをやっていくとなったときに、考慮するとよいことはたくさんあります。ワーキンググループを構成し進めていく際に以下の問いを考えるとよいかもしれません。

1) さまざまな経験や視点を確保するために十分な多様性、人数のメンバー構成となっているか?

  1. なっていないとしたら、どのようにこれを改善する?
  2. その状態でも進めていくことができるか?進めていくとしたら、何を考慮する必要があるか?

2) この会議で決定をしていく際にトラウマインフォームドなプロセスを採用しているか?

  1. 参加しているどのメンバーも、自分の意見を他者に聞いてもらう機会がある、インクルーシブな場となっているか?誰か1-2人の人ばかりが話していないか?
  2. 異なる視点を検討するのに十分な時間を使っているか?
  3. 安全とパワーについてオープンに話したか?このプロセスをいかに安全にできるかについて考えているか?

3) 参加者の頭に今浮かんでいることを聞けるよう、参加している個々人の発言(チェックイン)をするスペースがあるか?

  1. 次の行動ステップへ進むためにチェックインの時間を適切に制限しているか

4) 自分たち自身が学び、実践を続けているか?(自分たちの組織の中で私たち自身が率先して実践していくために)

  1. 毎回会議の冒頭で、前回からの間に目にしたトラウマインフォームドな実践を紹介することをやってみるのはどうだろう
  2. 難しかった状況とトラウマの影響を結びつけて考えてみるのはどうだろう(たとえば、この状況はトラウマの影響とどのように関連しているだろう?トラウマの影響を受けている人達に対する支援を提供したい私たちだからこそ、この状況について考えることが重要なのでは)
  3. 自分たちが学び続けるために、情報や文献の共有などをする?

5) 解決策ややるべきことができあがってきたときに、それらを組織やコミュニティ、管理者に見せるプロセスはあるか?

  1. どのようにやりとりする?何を?
  2. 責任者は?
  3. それはいつ?
  4. フィードバックを求めるとしたら、そのフィードバックをどのように生かすか?
  5. このやりとりを全てのスタッフや管理者が学ぶために使う?

6) 私たちはワーキンググループのなかで対立や意見の違いが出てきたときにどうするかについて話しているか?

  1. 対立が起きたときの行動規範を作っていたとしたら、その規範通りの行動をしているか?

東京大学 コプロダクション研究チーム 宮本有紀

—————————————-

研究チームの印象に残ったこと・自由な感想

  • 4)が少しわかりにくい
  • → たぶん、4)-1は、毎回の会議でTIC実践を紹介することで、TICについて考えるグループのメンバーそれぞれがTIC実践をしたり、まわりのTIC実践に敏感になるなどがありそう。

  • ガイドラインって、ルールとも違いそう。規則、みたいに押し付けられるものでもない。
  • 「〇〇するべき」みたいに言いたいわけではないのでしょうね。
  • こういったものを見て、それぞれのグループで柔軟に考えて発展させていく、そんなものなのかも。