共同創造Co-production資料28 その状態の実体験を持つ人と専門職者との共同研究

共同創造は、さまざまな領域のさまざまな内容について実践することが可能であり、そして実際に取り組まれていることと思います。
保健医療福祉領域の研究についても、これまでは研究者・医療者が研究をする者、医療を提供する者の立場で実施し、発表されることがほとんどでしたが、最近では患者・利用者の方々が自身の声を保健医療福祉の学会等で発表されたり発信されることも増えています。
それに加え、近年では、少なくとも保健医療領域では、研究への市民患者参画が求められるようになってきており、研究を共同創造で行われることも増えてきました。

ここでは、World Psychiatryという精神医学領域の学術誌に掲載されている、その疾患状況を経験した人(患者としての体験のある人)と学術関係者(研究者)によって執筆された論文をご紹介させていただきます。

Fusar-Poli, P., Estradé, A., Stanghellini, G., Esposito, C.M., Rosfort, R., Mancini, M., Norman, P., Cullen, J., Adesina, M., Jimenez, G.B., da Cunha Lewin, C., Drah, E.A., Julien, M., Lamba, M., Mutura, E.M., Prawira, B., Sugianto, A., Teressa, J., White, L.A., Damiani, S., Vasconcelos, C., Bonoldi, I., Politi, P., Vieta, E., Radden, J., Fuchs, T., Ratcliffe, M. and Maj, M. (2023), The lived experience of depression: a bottom-up review co-written by experts by experience and academics. World Psychiatry, 22: 352-365. https://doi.org/10.1002/wps.21111
(実体験としてのうつ(うつの生きられた経験):経験による専門家と学者が共同で執筆したボトムアップレビュー)

Fusar-Poli, P., Estradé, A., Stanghellini, G., Venables, J., Onwumere, J., Messas, G., Gilardi, L., Nelson, B., Patel, V., Bonoldi, I., Aragona, M., Cabrera, A., Rico, J., Hoque, A., Otaiku, J., Hunter, N., Tamelini, M.G., Maschião, L.F., Puchivailo, M.C., Piedade, V.L., Kéri, P., Kpodo, L., Sunkel, C., Bao, J., Shiers, D., Kuipers, E., Arango, C. and Maj, M. (2022), The lived experience of psychosis: a bottom-up review co-written by experts by experience and academics. World Psychiatry, 21: 168-188. https://doi.org/10.1002/wps.20959
(実体験としてのサイコーシス(サイコーシスの生きられた体験):経験による専門家と学者が共同で執筆したボトムアップレビュー)

上記研究は、それぞれうつについてとサイコーシス(精神病様体験)について、実際に自身の生活の中でその状態を生きた方たちやその家族、学者でさまざまな年齢層、性別、文化的背景をもつ人々が参加して執筆されました。(最初の3人の著者が同じなので同じ文献のように見えてしまうかもしれませんが、別々の論文です)

たとえば、うつの体験についての研究では、患者利用者経験のある人、その家族、学者などにより構成された研究チームで、うつ状態について自身の言葉で語っている質的研究を集め、そこで記載されている内容からうつ状態の主観的世界、社会的・文化的文脈の中でのうつ状態の経験、うつからの回復の経験に分類されました。
その後、上記により分類された内容を、この研究チームに属していないより広い患者・家族ネットワークに見てもらい、特に中低所得国や性的、社会的マイノリティの方たちも含まれるようにしながら、フィードバックを得てさらに豊かな内容になりました。そして、それらをグーグルドライブで共有しながら多くの参加を得て共同執筆された論文で、執筆に参加された方々は共著者となっています。

このように、保健医療の領域で、患者や市民と共に研究をする取り組みは増えています。日本でも、たとえば国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)という研究開発と研究環境整備の組織から助成を受けた研究事業で患者市民参画(PPI)に取り組んだ事例を紹介したりしています。
https://www.amed.go.jp/ppi/ppipractice.html

 

従来は、医療者や学者が疾患や症状について解説をした文章が教科書となり、医療者への教育に使われてきたと思います。もちろん、医療者から見える状態像が記載されており、それが間違いであるわけではありませんが、この論文のように実体験をした本人たちの語りがまとめられること、そして、その実体験のある人たちが執筆の過程に参加することにより、そのまとめ方や表現のされ方が医療者・学者視点に偏ることなく記載され、その状態を経験している人にとって大切なことが発信されやすくなるということで、とても意義のあることだと思いました。
東京大学コプロダクション研究チーム 宮本有紀

リカバリーカレッジ資料 08: オンライン講座の利点と困難

リカバリーカレッジに関する文献リストその8です。

宮本有紀, ゆうこりん, かけるん, 吉岡洋, 馬渡春彦, 高田和則, 藤澤希美, 黒田文, 青木裕史, ちはるん, 青木典子. リカバリカレッジにおけるオンラインの活用. こころの健康. 2022;37(2):37-42.

https://mol.medicalonline.jp/library/journal/abstract?GoodsID=de0kokor/2022/003702/008&name=0037-0042j

リカバリーカレッジは、対面で集まる形式で英国ではじまり、日本でもそのように広がっていましたが、コロナ禍で多くのカレッジがオンラインを活用した講座を開催するようになりました。リカバリーカレッジでどのようにオンラインを活用していたかを、全国のさまざまなリカバリーカレッジの関係者である仲間たちとまとめたものです。

こちらは、「こころの健康」という雑誌の、SNS・Webメディアとメンタルヘルスの特集に掲載していただきました。

皆でまとめるにあたり、オンラインで開催してよかった点やストレングスについてと、対面講座のときにはなかった困難などをどんどん挙げてもらい、それらをまとめました。この文章の中では、①受講者にとってのオンライン講座の利点、②リカバリーカレッジを運営・提供する側にとってのオンライン講座やオンライン活用の利点、③オンライン講座で困る点とそれに対する工夫を、それぞれ表にまとめました。

オンライン講座での困難もたくさんあがっていたのですが、そのどれに対しても、各カレッジで、困難を減らしたり防ぐための具体的な工夫がなされていて、それらを皆で共有することができて、まとめていてとても楽しかったです。

リカバリーカレッジ資料 07: 支援職に与える影響の文献検討

リカバリーカレッジに関する文献リストその7です。

清家 庸佑, 川口 敬之, 小原 一葉 (2023). リカバリーカレッジへの参加が支援職に与える影響について—スコーピングレビュー. 精神医学,  65(4): 489-498. https://doi.org/10.11477/mf.1405206897

タイトルにある通り、リカバリーカレッジへの参加が支援職に与える影響についての文献検討です。レビュー対象となった10本の文献の要約など、こうやってまとまっているとありがたいなぁと感じました。著者の皆さんは個人的にも存じ上げていて皆さん素敵な方々です!

共同創造Co-production資料26 その3: 精神保健領域で共同創造の原則を実践する

前々回前回に引き続き、Roper, Grey, Cadoganによる、Co-production: putting principles into practice in mental health contexts(共同創造の原則を精神保健領域での実践に取り入れる)
https://healthsciences.unimelb.edu.au/departments/nursing/about-us/centre-for-psychiatric-nursing/news-and-events/test
冊子のPDFはこちら
についてです。
Roper C, Grey F, Cadogan E. Co-production – Putting principles into practice in mental health contexts. 2018.

この冊子では、パワーについてたくさん書かれていて、パワーについて気づくことがテーマとなっていると拝読しました。その中でも今回ご紹介したいのは、どのようにパワーの不均衡に対応するかというところです。

パワー(力)の不均衡への対処

「コプロダクションでは、権力や力(パワー)の問題に意識して注意を払い、そこにパワーの違いがあることがわかったら、パワーの弱い人へとパワーをシフトさせるような行動を取るべきである」と記載されていて、そのやり方の例としていくつもの例が上がっていました。その中から抜粋すると:

  • 当事者がプロジェクトを主導できるよう支援し、資源を提供する。
  • 当事者がミーティングの議題を決め、特定の議題や活動に費やす時間を決める。
  • その取り組みの過半数が当事者であることを確認する
  • ガバナンス(管理等)をする当事者運営グループを設立する。
  • 会議の開始時に、サービス・システム(医療やその他の制度)に関わる際に力の喪失を経験した、または経験している人々を認める。
  • パワーのある人が席をはずす(物理的にその場を離れる)など、パワーのない人がパワーの不均衡が生じない形で検討したり議論したりする機会を作るなどもできる。
  • パートナーシップがどのように進んでいるかを見直す時間を定期的に設ける。
  • パートナーシップのあらゆる段階において、力の差に気づき、声を上げ、表に出し、対処するために、時間、思考、努力、計画を考慮する。
  • グループの目的を支援するために異議をはさまずに使用できる裁量資金
  •  「このグループの辞書」を作る:当事者(必ずしもそうでなくても)にとって不親切な言葉・助けにならない言葉は、コプロダクションの場では代替の言葉が使われる。

などがありました。

当事者を半数以上とする、伝わる言葉を使う、など、常に意識しておきたいことがたくさんあると感じました。それと同時に、この項で言われていたのが「どのような方策が助けとなりそうか、どれをやってみるかは特に当事者が主導して決める」ということです。

 

良かれと思って先回りして何かをするのではなく、共に取り組む人と話し合いながらやっていくことが重要だと思いました。事前に考えて「気を利かせる」というようなことをしてしまいがちですが、コプロダクションに限らず、互いに声に出しながら決めていく、声を出しやすい環境を作る、ということが何より大事なのだと感じています。声を出しやすい環境を作るためには自分の醸し出してしまう空気や圧にも気付く必要があり、それにも意識を向けて。

東京大学 コプロダクション研究チーム 宮本有紀

 

 

共同創造Co-production資料26 その2: 精神保健領域で共同創造の原則を実践する

前回に引き続き、Roper, Grey, Cadoganによる、Co-production: putting principles into practice in mental health contexts(共同創造の原則を精神保健領域での実践に取り入れる)
https://healthsciences.unimelb.edu.au/departments/nursing/about-us/centre-for-psychiatric-nursing/news-and-events/test
冊子のPDFはこちら
についてです。
Roper C, Grey F, Cadogan E. Co-production – Putting principles into practice in mental health contexts. 2018.

ここでは、old power(旧来のパワー)、new power(新しいパワー)について対比されていて

旧来のパワー(権力)の価値観では、

  • 管理主義、制度主義、代表統治
  • 排他性、競争、権威、資源の統合
  • 裁量、守秘義務、私的領域と公的領域の分離
  • プロフェッショナリズム、専門化
  • 長期的な所属と忠誠心
    全体を通じての参加は少ない

新しいパワーの価値観

  • 非公式、参加意思のある人たちによる意思決定、自己組織化、ネットワークガバナンス
  • オープンソースコラボレーション、集団の知恵、共有
  • 根本的な透明性
  • DIY、作る文化
  • 短期的、条件付き所属
    全体を通じての参加はより多い

Source: Jeremy Heimans and Henry Timms, 2014

として挙げられていました。

ちなみに、
Jeremy Heimans and Henry Timms, 2014 とは
Heimans, J., & Timms, H. (2014). Understanding “New Power”. Harvard Business Review, https://hbr.org/2014/12/understanding-new-power
です。

コプロダクションに大切なこととして、

  1. その取り組みに関わる全員が、コプロダクションとその取り組みに賛同し、その両方を擁護する意思がある。個人や組織の中途半端な参加は、グループの活動を前進させるのに十分ではなく、有害になる可能性がある。
  2. 組織の背景などがある場合、関連組織内のリーダーや意思決定者が、コプロダクションとその取り組みの両方について、始める前から理解し、支援すること。
  3. 関係者全員が、リスクを取ることを厭わない。コ・プロダクションは、仕事とパートナーシップに取り組む新しい方法である。計画して熟慮しつつリスクを取ることは、その過程で見出されていく新しいパワーやさまざまな動き方の利点を認識するために必要である。
  4. グループ内の人々にコプロダクションへの対応力がない場合、コプロダクションの専門知識と支援へのアクセスが必要である。

が挙げられていました。

 

これまでの常識のようなものが旧来の力として新しいものの発現や創造を妨げてしまうことがあり、新しい考え方や新しい価値観にひらかれている、ということがコプロダクションで重要なことだということを感じます。それと同時に、自分は新しい価値観や自分と異なる考え方にひらかれているだろうか、自分が思っていることとは違う意見がたくさん出てきたときに、その場にとどまり一緒に作っていこうと思うには、何のために、というミッション(?)と、互いへの信頼や敬意が必要だな、と感じました。
東京大学 コプロダクション研究チーム 宮本有紀

共同創造Co-production資料26 その1: 精神保健領域で共同創造の原則を実践する

コプロダクション(共同創造)の資料類は、英国でたくさん発表されていますが、オーストラリアからもどんどん出てきている印象があります。
今回は、2018年にメルボルン大学から出されている Co-production: putting principles into practice in mental health contexts(共同創造の原則を精神保健領域での実践に取り入れる)
https://healthsciences.unimelb.edu.au/departments/nursing/about-us/centre-for-psychiatric-nursing/news-and-events/test
についてご紹介したいと思います。

上記メルボルン大学の紹介記事によると、この資料はconsumer academic(当事者研究者?)であるCath Roperさんと、consumer consultant and peer supporter(当事者コンサルタントでありピアサポーター)であるFlick Greyさんと、senior project officer from Victoria’s Department of Health & Human Services(ヴィクトリア州保健福祉省のプロジェクト長)のEmma Cadoganさんの3人と、たくさんの方達で一緒に作られたとあります。

「コプロダクションにおいて最も重要なことは、考え方を変え、探求したり学んだりすることを受け入れる文化、当事者の知識や専門性を真に価値あるものとして扱う文化を確立することである。」
「コプロダクションは、政府、専門職、当事者や地域などが担い手になり得る。そして、サービスや医療、政策、プロジェクト、研究、研修などのアイディア、解決策、成果などを共に作り上げることができる。」
「コプロダクションは、パートナーシップを築いている関係の中のパワーの違いを認識し、それに対処しようとする」
「コプロダクションには時間がかかる。信頼し尊重し合うような関係を築くには、時間と配慮が必要である。不平等について話し合ったり対処したりするには、時間と配慮が必要である。」
「当事者ははじまりのはじまりからパートナーである」
「パワーの差は認識され、検討され、対処される」
「当事者のリーダーシップと能力が開発される」

など、パワー(power)についての言及がたくさんあります。

精神保健領域で当事者(consumer)と言われる方々と専門職の間にあるパワーの違いを認識することはコプロダクションのベースなのだな、と再認識しました。

資料の冒頭に、「コ・プロダクションはモデルではなく、むしろ価値観と原則を持つ理論である。」(In fact, co-production is not a model, rather it is a theory with a set of values and principles.) と記載されていて、モデルではなく理論というあたりについて、どういうことだろう?ともっと知りたいと思っています。
東京大学 コプロダクション研究チーム 宮本有紀

共同創造Co-production資料25: RECOLLECT Checklist と RECOLLECT Fidelity Measure

リカバリーカレッジの現在の発展状況を確認するチェックリスト(RECOLLECT Checklist)と、リカバリーカレッジが、英国のリカバリーカレッジをモデルとする考え方での理想のリカバリーカレッジにどの程度合致しているかを見るフィデリティ尺度(RECOLLECT Fidelity Measure)というものがあります。

ノッティンガム大学のリカバリー研究チームが開設しているウェブサイトである「Research into Recovery」の中に、これらの尺度の各国語版が誰にでもダウンロードできる形で公開されています。
https://www.researchintorecovery.com/measures/recollectfidelitymeasure/

日本語版の作成に、東京大学コプロダクション研究チームの宮本も参加させていただきました。
リカバリーカレッジを開催されている方やこれから作りたいと思われる方、リカバリーカレッジに参加されている方、さまざまな方にご参考になるかもしれません。
リカバリーカレッジに関連する尺度やリストではありますが、共同創造の考え方もかなり入っています。
これらを、リカバリーカレッジに関わっている人達(運営委員など)皆で自分のリカバリーカレッジについてつけてみたり、リカバリーカレッジに参加している受講者さんと一緒につけてみたりするなどで、いろいろな発見があると感じています。

共同創造Co-production資料24その4: Co-Production in Practice Guidance Document: 2018 – 2020 (HSE)

しばらく前から引き続き、アイルランドのHealth Service Executive(HSE)が出している資料の「Co-Production in Practice Guidance Document: 2018 – 2020 (共同創造の実践のガイダンス)」の部分のご紹介です。
https://www.hse.ie/eng/services/list/4/mental-health-services/advancingrecoveryireland/national-framework-for-recovery-in-mental-health/co-production-in-practice-guidance-document-2018-to-2020.pdf

この資料の付録2(p.22-23)として、コプロダクション(共同創造)のチェックリストがついています。
全ての問いに、はい、いいえ、でチェックする形式です。
(このチェックリストは、おそらくリカバリーカレッジでの共同創造を念頭に置いていると思われます。

いくつか抜粋してご紹介しますと
準備:共同創造の前に
ファシリテーター・関係者間で葛藤や、効果的な共同創造を妨げるような何かがあるか?
ファシリテーター・関係者に共同創造活動をするために準備するのに十分な時間があるか?
ファシリテーター・関係者に専門職などの上下関係があるか?
ファシリテーター・関係者は対等に共に活動したいと思っているか?
ファシリテーター・関係者はピアサポートワーカーとかリカバリーカレッジといった新しいリカバリーの考え方や役割、共同創造の重要性を受け入れたいと思っているか?
この共同創造の活動はどの人にとってもアクセスしやすい地で起きるだろうか?(たとえば地方でも?)
支援職のファシリテーターはこの共同創造活動に関わることを上司からサポートしてもらえるか?
ファシリテーター・関係者は、ファシリテーションや共同創造に関する適切なトレーニングを受けたか?
ファシリテーター・関係者は、どんな風に共同創造をできるかについての計画を立てたか?

提供:共同創造のさなかに気にとめること
ファシリテーター・関係者は、そのプログラムについての準備ができているだろうか?
(講座の時)参加者の到着時や休憩時に茶菓があるか?
など項目が続いています。

評価:ファシリテーター・関係者が資料・題材の共同創造や共同提供をどのようにできたか
その共同創造活動を計画通りにできたか?
ファシリテーター・関係者へのサポートはあるか?(カウンセリングや振り返りなど?)
ほか

正直なところ、これは共同創造のチェックリストとして必要だろうか??チェックしてnoだった場合にはどうするのだろう?どうしたらよいのだろう?と思う項目もありましたが、共同創造をどのようにしていけるか、共同創造をしていくために必要な工夫を考えるためにも、現状を知る、お互いの見え方を知るということは重要だなと感じました。こういったチェックリストを、共に共同創造に関わる人達で一緒につけてみるということもよいなと思いました。
東京大学 コプロダクション研究チーム 宮本有紀

共同創造Co-production資料24その3: Co-Production in Practice Guidance Document: 2018 – 2020 (HSE)

前々回前回に引き続き、アイルランドのHealth Service Executive(HSE)が出している資料の「Co-Production in Practice Guidance Document: 2018 – 2020 (共同創造の実践のガイダンス)」の部分のご紹介です。
https://www.hse.ie/eng/services/list/4/mental-health-services/advancingrecoveryireland/national-framework-for-recovery-in-mental-health/co-production-in-practice-guidance-document-2018-to-2020.pdf

コプロダクションの過程(p.9)
Co-design/Co-governance 共同設計・共同統治
精神保健サービスの設計(計画)に全ての関係者(サービス利用者、家族、サービス提供者)が関わる
委員会や自治体や政府の会議にあらゆる関係者が参加しているなど

Co-implementation 共同実施
精神保健サービスの提供に全ての関係者(サービス利用者、家族、サービス提供者)が関わる
多職種チームへのピアサポートワーカーの雇用など

Co-evaluation 共同評価
監査や評価にに全ての関係者(サービス利用者、家族、サービス提供者)が関わる
ピアリサーチャーの雇用や、サービス利用者や家族の満足度調査を実施するなど

共同創造Co-production資料24その2: Co-Production in Practice Guidance Document: 2018 – 2020 (HSE)

前回に引き続き、アイルランドのHealth Service Executive(HSE)が出している資料の「Co-Production in Practice Guidance Document: 2018 – 2020 (共同創造の実践のガイダンス)」の部分のご紹介です。
https://www.hse.ie/eng/services/list/4/mental-health-services/advancingrecoveryireland/national-framework-for-recovery-in-mental-health/co-production-in-practice-guidance-document-2018-to-2020.pdf

この中(8ページ)の表1に、コプロダクションとは?という表があるので抜粋して紹介します。

Co-Production is? (コプロダクションとは?)
探索の場の創造
全ての関係者が集まって、新しい知を創造する

協働プロセス
全ての関係者が望ましい結果を得るためにさまざまな視点を共有する

パワーの共有
全ての関係者が、それぞれの専門領域を認め合い、決定権が共有される

知の強化
様々な知があるということを認識し、理解し、活用する

対等な関係性
互いへの尊敬に基づく関係性

一直線ではない
上り坂下り坂のある旅から学ぶ

実践の連続
サービスや支援の提供の全ての段階でリカバリーをサポートし、サービスをよくしていく

コプロダクションとは、探索をする場であり、互いへの尊敬に基づくものであり、一直線ではないこと、どれもその通りだな、と感じています。
東京大学 コプロダクション研究チーム 宮本有紀